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ツクリエのコミュニティマネジメント・プログラムに密着【プランニング編】


起業支援施設で、人と人をつなげる交流支援を行い、その場から生まれる価値を最大化していく役割を担うコミュニティマネージャー(以下CM)。
ツクリエではCMの育成にあたる「コミュニティマネジメント・プログラム」を実施しており、スタッフはこのプログラムを経て、日々の幅広い業務内容に役立てています。

今回お届けするのは、後編となる「プランニング」編。

ここでは、カリキュラムの内容はもちろんのこと、全6回のプログラムを経た参加者の行動の変化や、CMを目指す方に向けて伝えたいことをインタビューしました。CMに興味のある方はぜひ、最後までご覧くださいね。

前編:コミュニケーション編はこちら▼

中編:ファシリテーション編はこちら▼

CMにおけるプランニングとは

広義のプランニングとは、名前の通り「計画を立てること」。
コミュニティマネジメントにおいては、上記に加えて「相手の抱える真のニーズにたどり着く課題発見力」と「課題に対して適切な支援策を講じる思考力および引き出し」が大切になります。

例にすると、ツクリエの起業支援施設では、融資・補助金といったお金のことや、起業・副業・経営についてのワークショップにランチ交流会など、学生や女性でも参加しやすいイベントが定期的に開催されています。

イベントの企画は、ただ単に計画を立てるだけでなく真のニーズに合っているか、そしてイベント後の振り返りや、企画の良し悪しを検討していくことが必要です。
起業相談・ビジネスマッチング・スタートアップ支援など、プランニングをする上で重要となるのは思考力や企画力、そして情報へのアンテナがキーワードとなります。

コミュニティマネジメント・プログラムの中身を公開

プランニング編では、3つの目的の一つである「コアスキルを成長させる」ため、イベントプランニングをワークとし、より実践的にプログラムが進められました。

ワーク|“PEF”を目指すイベントプランニング

コミュニティマネジメント・プログラムにおけるPEFとは「Problem Event Fit」の頭文字を取った造語で、「課題の解決に合ったイベント企画かどうか?」という、プランニングの軸にあたります。

これから進めるワークは、実際に行われる「ツクリエの社内イベント」に向けたワークショップです。
ワークは3人1チーム。グループA(澵井さん、稲山さん、和田さん)とグループB(稲生さん、嶋田さん、渡邉さん)に分かれてイベント企画を練っていきます。

まずは、ワークシート「困りごとスクラップ」と「PEFアイデア構築」を用い、ツクリエ社員や参加者自身が困っていることを洗い出していくところからスタート。

【STEP①~⑤】
①ワークシート「困りごとスクラップ」に困りごとを分類化していく

②それぞれの困りごとに優劣をつける

③上記②の中で最も大きい困りごとの項目には、“PEFアイデア構築”シートにイベント企画としてアイドアを埋める

④キーワードである「誰の」「どんな課題を」「どのように」をシートにまとめていく

⑤ワークの発表

グループA発表のまとめ

困りごとが多く出た中、3人の共通事項として挙げたのは「拠点がたくさんあるのに、それぞれが“点”になっていて、拠点同士がつながっていない」ことでした。

澵井さん「社員の強みがなかったり、悩みを誰に話したらいいか分からないことも“つながり”を感じにくい要因の一つです。新入社員も続々入社していることもあり、全員に合ったイベントとして、ターゲットや課題を絞るには決めかねてしまっているのですが……。交流要素のあるイベントや、顔合わせもできるZoom交流会が設けられたらいいなと考えています。」

グループAについては、個別に感じた具体的な困りごとが多く意見が出ていたのが特徴的でした。

グループB発表のまとめ

グループBは「理想の姿」から逆算をして、課題(=困りごと)の洗い出しをしました。

【理想の姿】
・イベント集客に困らない講師との繋がりをつくりたい
・自分がメインでやっていきたい事業だけをやっていきたい

【課題(困りごと)】
・企画方法や情報の拡散について、どこまでを知っていれば自分のイベントの良し悪しの分析ができるのか
・キャリア像を描きにくいので、実際にプロマネしている人がどんな仕事をしているか知りたい

渡邉さん「これら理想の姿や課題をターゲットに当てはめようとした時に、どちらにも当てはまる層を考えるか否かでタイムアウトしました。“誰の”課題解決をするイベントのテーマにするかが難しかったです。」

今回のワークは制限時間が20分と、企画をまとめるには短い印象でありましたが、高島さんはこのように参加者に伝えました。

「イベント企画は完璧を求めすぎるのではなく、クオリティ・コスト・納期の3つに視点を置き、それらをバランスよく合わせたイベントを作り上げるイメージでいいと思います。その考え方でいくと、グループBは継続的な議論を進めていくことで、更に具体的なターゲット層がみえていくのではないでしょうか。」

イベント企画案の発表に向け、それぞれのグループで追加の会議を重ね、発表までの準備を進めていきます。

講義|フィードバックについて

講義については書籍や先行研究を参照にしたほか、大学の公開講義やオンライン講座で高島さん自らが学んだ内容を下地にし、解説を進めました。

講義はまず最初に「よいフィードバックとは何か?」から始まります。

フィードバックの一般論は「情報通知」と「立て直し」であり、更に言うと情報通知は「ティーチング的」で、立て直しは「コーチング的」であると、高島さんは話します。

高島さん「フィードバックを高めるための具体的な参考例として、大手自動車メーカーであるトヨタ自動車が発案した『なぜなぜ分析』が参考になります。なぜなぜ分析とは「なぜ」を繰り返して原因を掘り下げ、問題解決に導く分析方法のことです。目的と課題を明確にし、問題に対して『なぜ?』を問いかけて原因を掘り下げ、特定した原因から解決策を創出する。このように、質問を繰り返し深掘りすることが、フィードバックを高める上でのポイントです。」

ツクリエの社内イベント企画内容を発表

講義を経た後には、2つのグループに分かれ検討を重ねたイベント企画の内容を発表していきました。

グループAのイベント企画内容を発表

グループAのイベント企画は「ツクリエ社員交流会〜大人のプロフィール帳をつくろう~」です。

澵井さん「対象は、他拠点や他部署で働いている社員と交流したい人。全国に拠点を持つツクリエでは、他部署や他拠点で働く人同士の交流が難しく、色々なバックグラウンドを持つ社員がいるにも拘わらず、会社としてその特徴を活かしきれていないことが課題です。今回のイベントは、お互いの人柄や得意なことなどを「プロフィール帳」を使って紹介し、イベント以降の交流を活発にするきっかけにしてもらうことを目的としました。」

懐かしの“プロフィール帳”を通して交流を図る、20〜30代の世代には特に刺さりそうなこの企画。
プロフィール帳を通してその人の得意分野だったり経験を知れることで、企画実施後の社内の交流や、強みをまわりに伝えられるのがメリットです。

ここで出されたフィードバックは、プロフィール帳世代でない方からみた、参加のハードルの高さや、作った後のアクションについてどのようにしていくかです。

稲山さん「ツクリエに在籍する平均年齢でいくと、プロフィール帳はなんとなく知っている方は多いと思います。プロフィール帳作成後はLINE WORKS(ビジネス版LINE)などでリンクさせて見られるようにすることで、見た方にも興味を持ってもらえるかもしれません。ターゲットは絞られる分、まずはやってみることで、今後の改善にもつなげていけるのかな、と考えています。」

高島さん「プロフィール帳は『書く』で終わらず『交換する』もの。テンプレに沿って誰でも書きやすく、その内容をもとにお互い話しやすいので交流に適しています。紙ベースだったプロフィール帳をオンライン化するのもまた、いいアイディアですね。」

グループBのイベント企画内容を発表

嶋田さん「グループBでは『ツクリエだからこそ学べる事って何?』と、3人のディスカッションの議題で上がりました。そこでタイトルにしたのが“卒業生に聞いてみました!ツクリエってどんな会社?”です。ツクリエを卒業したメンバーに登壇してもらい、会社を離れて気づいた良いところや、ツクリエの経験が現職でどのように生かされているのかを話してもらうというイベントです。これからのキャリア構築や、自分の役割ややるべきことが分からないなどのもやもやを抱えた方にとって、自分自身のバリューの上げ方のヒントをもらえるような内容にしたいと思っています。」

フィードバックとして挙げられたのは、以下の内容です。
☞今後のキャリア構築のための話であれば、登壇者は複数名でも良いのではないか
☞30名を集める戦略は?
☞登壇者の選定が難しそう

高島さん「ツクリエ卒業生が登壇する背景・理由を、もう少しはっきりできるといいですね。今後は、参加者へのイベントの魅せ方も考えておきたいところです。」

イベント開催にあたっての課題を残し、実践的なワークとなるツクリエ社内イベントの開催に向け、それぞれのグループで企画案の検討を練ることとなりました。

以上が、プランニング編でした。
ここからは、コミュニティマネジメント・プログラム最終日の中身をお届けします。


最終日は、今までのプログラムの振り返りとまとめを中心に行われ、さらにチームAとBそれぞれからイベント実施報告がありました。

イベントの報告とフィードバック改善案の検討と共有

【チームAの発表】

「ツクリエ社員交流会〜大人のプロフィール帳をつくろう~」のタイトルでワークショップを実施したチームAでは、目標参加人数15名に対し、6名の参加者と共にイベントを実施しました。

稲山さん「横の繋がりをつくりたい、他拠点の人のことを知りたいという目的に対しては、参加者の声を聞く限りでは達成できたと思います。しかし、プロフィール帳の記入がなかなか進まない方もいて、記入時間を急遽延長する場面もあり時間配分が難しかったです。目標人数には達してはいなかったものの、少人数ならではのラフな雰囲気が良かったと思います。」

高島さん「当日のタイムスケジュールの変更に、うまく対応していたのではないかと思います。アンケートなどで聞いた参加者の意見をふまえて、実際どうだったでしょうか。本来の企画趣旨に対して本ツールの利用が効果的だったのか、それは意図どおりか、今後の社内交流に活かせそうか。企画メンバーによる振り返りもしっかりと行いましょう。」

【チームBの発表】

チームBでは「卒業生に聞いてみました!ツクリエってどんな会社?」のタイトルで、クロストーク形式でのイベントを実施。目標参加人数30名に対し、20名が参加しました。

嶋田さん「元ツクリエ社員を交えてのトークということで、“外から見たツクリエ”をオーディエンスに向けて知ってもらえました。また、普段は会わない人同士の対話や意見交換により、現社員が自ら積極的に動く積極性を持つ動機付けにもなったと思います。ただ、次回に繋げられるアンケートの回答率は30%と、少し寂しい結果になってしまいました。」

イベント企画・実施において代表者からの発表をした後は、フィードバックや、それに対しての改善案を共有し合いました。
鋭い指摘や質問も垣間見え、有意義でありながら、かつ次回の機会につながるフィードバックが多くみられました。

クロージング|終わりに

着想→発想→創案の一連を体系的に学び、課題の発見からふりかえりまで、プランニングを広く捉えることを特徴とした「プランニング編」。

・Problem(課題や困りごと)を洗い出す
・Problemの質を上げる
・Problemの解決に与する企画のアイデアを考える
・企画アイデアをアウトプットの形(Event)に変える

プランニングをする上で、上記の「Problem Event Fit(PEF)」を目指すのが軸であること。そして困りごとを分類化し優劣をつけながら、生まれたアイデアを「誰の・どんな課題を・どのように」するかを構築し、問題解決に向けどのようなリソースを組み合わせるかをディスカッションしました。

今回はイベント企画を通して、プランニングやフィードバックを実践的に練習しましたが、これはイベント企画に留まりません。
CMが起業相談・ビジネスマッチング・スタートアップ支援などを行う上でも、行動を切り分け多角的な視点で振り返り、次のアクションをより良くすることが大事だと学びました。

最終日を経て、全体を振り返るリフレクションシート(参加者用アンケート)が実施されました。この回答を参考に、今後、コミュニティマネジメント・プログラムは更なるブラッシュアップをしていくに違いありません。

コミュニティマネジメント・プログラムの参加者の声

最後に、今回のコミュニティマネジメント・プログラムに参加した6名の皆さんにインタビューをしました!

コミュニティマネジメント・プログラムに参加した感想は?

稲生さん「周りの人からどう見られているか理解できたので良かったです。」

澵井さん「自分の強みや得意・不得意を再認識することができました。得意は伸ばし、不得意は苦手意識を持たずこなしていきたいと思います。 また、今回コミュニティマネジメント・プログラムを通じて企画運営したイベントが社員の課題感にも合致しており、全社的な取り組みとなる足掛かりを作れたことが自信にもつながりました。」

CMに興味がある・なりたい方に向けてメッセージやアドバイスをお願いします!

稲山さん「起業家に寄り添う気持ちは共通点としてありながらCMはそれぞれの個性を活かすことができる職種だと思います。正解とする型がないから難しい部分もありますが、自分らしくCM像を築けるのは楽しい仕事だと感じています。」

嶋田さん 「企画する力や提案する能力が身につくお仕事だと思います。」

渡邉さん「コミュニティの中心になるのではなく、コミュニティの中心人物を生み出す仕事だと思っています!人の応援、ワクワクする人との縁を作りたい方にとってもおすすめな職業だと思います!」

コミュニティマネジメント・プログラムを経て、心境・行動の変化やCMの仕事に対する想いがより一層強くなった参加者の皆さん。
ツクリエでは今後もこのプログラムを活用しながら、起業支援を行う心強い存在となるCMを輩出していきます!

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