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アクセラレーターって何? 中の人に聞いて分かった、実は意外と熱い人情の世界だった!


“起業家に寄り添う”をミッションに掲げるツクリエは、いったいどんなお仕事をしているのでしょうか? この「お仕事クローズアップ」シリーズでは、ツクリエの事業内容を掘り下げてご紹介。

今回スポットライトを当てるのは「アクセラレータープログラム開発事業部」ですが、ツクリエのアクセラレータープログラムについては、ホームページの「ACCELERATOR PROGRAM」で特徴やラインナップなどを詳しくご紹介しています。

ホームページでは伝えきれない情熱をお届けする本記事では、事業メンバーの経験や個性にフォーカス。プログラム創出の“土壌”となる考え方を伺いしました!

そもそもアクセラレーターって!?

☞アクセラレーターとインキュベーターの違い
アクセラレーター(Accelerator)とは、英語で「加速させるもの」を意味します。
そこから派生し、ビジネス分野では一般的に「シード段階を過ぎたスタートアップ企業や起業家を支援し、事業の成長を促進する支援事業者」を指す言葉として使われています。

一方、インキュベーター(Incubator)とは、まだアイデアしかない「シード期以前のスタートアップ企業や起業家を支援し、事業の成長を促進する支援事業者」を指します。

☞アクセラレータープログラムとは
アクセラレータープログラムとは、大企業や自治体、ベンチャーキャピタルなどが主催者となり、スタートアップ企業や起業家との共創・出資を目的として開催されるプログラムのこと。

一般的に下記のような流れで進行していきます。

①ビジネスプラン募集
②支援対象者の選定
③(出資)
④支援期間
⑤成果発表(DemoDay)
⑥フォローアップ

※③の出資は、主催者側により出資があるパターンとないパターンがあります。

このようなプログラムを開発しているのが「アクセラレータープログラム開発事業部」です。

今回は、愛知県で起業をめざすスタートアップ育成プログラム「Aichi Startup Camp」を手掛けた杉野さんにアクセラレータープログラム創出のポイントを伺いました。

杉野雄基さん/Planning Team
テレビ番組制作会社勤務後、放送作家活動、一般社団法人運営を経て、2017年より株式会社ツクリエに入社。東京都の起業支援施設「Startup Hub Tokyo 丸の内」にてイベントチームマネージャーを担当。これまでに1,000回以上のイベントを統括、実施。
その他、放送作家時代から現在まで、様々な事業・プロジェクト立ち上げを経験。
杉野さん「起業アイデアの段階、特に“課題設定”は事業の根幹。納得いくまでお手伝いします。」

杉野流! プログラム創出のポイント

杉野さん「事業化される前のアイデア段階を支援しているのがツクリエのアクセラレーターです。そのため、起業家として“初期的な段階の人”も参加対象者になります。

プログラムを通してやり抜ける課題と出会ってほしい。そんな熱い想いから創出しているのが一つ目のポイントです。

二つ目のポイントはコミュニケーション。これまでいくつものイベントやアクセラレータープログラムを開催してきましたが、そのなかで確信したのはコミュニケーションの重要性です。

メンターや起業仲間とコミュニケーションを深めることでモチベーションは上がり、継続率アップにつながります。」

一般的なアクセラレーターの対象はシード期からですが、ツクリエはもう少し前段階の“アイデアがぼんやりしているような人”も範囲内。杉野さんのお話しから、アイデア構築段階の人もプログラムのなかで成長させていくという意気込みを感じます。

そして二つ目のポイントになる「コミュニケーション」について、さらに深掘りして伺いました。

杉野さん「プログラムのなかにどれだけコミュニケーションの場を盛り込めるか、を意識しています。たとえば、座学ばかりにせず相互学習の機会を設ける。これにより参加者同士の知見が共有され、コミュニケーションも活発化されます。

また、“実際にやってみる”という実践ワークも取り入れることが多いです。取り組もうとしている課題は本当に需要があるのか、街に出てインタビューし、事業にする価値があればプロダクト化していく。

こういった仮説検証のワークも積極的に取り入れています。プログラム中だけでなく、“宿題”としてプログラム外でも実践してもらう場合もありますが、これは自分だけで動けるようになってほしいから。

プログラムが終了しても、学んだことを自分だけでやっていけることが大事なので、実践要素の強いワークをいかに提供できるかがポイントです。」

テレビ業界での制作活動や放送作家の経験からか、杉野さんの創出するものは独特のユニークさがあり、いまの時代に響くエッセンスが散りばめられているように思います。

杉野さんらしいアウトプットはどこから生まれるのか? そのルーツは、ご本人のこんな経験談から読み解けるかもしれません。

杉野さん「以前の仕事はテレビ業界で放送作家。ひたすら面白いもの、感動できるものを作るために、企画アイデアと文章、人に伝えるメッセージと向き合い、登場人物や企業、商品・サービスをいかに輝かせてみせるか、といった表現方法を探ってきました。」

アクセラレータープログラムを成功させるために気をつけていることは?

杉野さんいわく、成功するために気をつけているポイントは2つあるのだとか。

☞一つ目、 募集時のキャッチコピーの工夫
杉野さん「プログラムが成功するか否かは、どれだけ見込みのある起業家やスタートアップを集められるかにかかっています。

応募数が多いほど質の担保になるので、その呼びかけである“ビジネスプラン募集のキャッチコピー”を練る必要があります。“読みやすい”というのは当然として、“ちゃんと学べるプログラムなんだ”と理解してもらうことが大事。

そのためにはきちんとプログラムを説明し、講師の魅力もアピール。さらに、プログラムを受けることでどんな効果を得られるかまで書きます。また、『まだアイデアしかない……』と二の足を踏んでいる人にも応募してほしいので、熱のあるキャッチを入れて感情からの勢いで引っ張ってきます。」

広報スタッフとキャッチコピーを検討する杉野さん。

☞二つ目、 コミュニティを機能させること
杉野さん「これはアクセラレータープログラム創出のポイントで伝えた“コミュニケーションの重要性”とリンクしていますが、参加者同士が仲良くなることで助け合いの気持ちが芽生えます。

自発的に事業の進捗を報告しあったり、面白い情報を共有しあったり、困っている人がいれば助けあったり。

自分のために何かしてくれる人がいるとモチベーションは上がり、やり抜くパワーを得られるので、参加者たちのコミュニティが機能するか否かは大切なポイントです。

これには運営側の積極性も重要で、定期的にメッセージや情報を送ったり、メンタリングをしっかりやったりと、情熱を持って参加者たちにコミットしていく。この情熱が参加者に飛び火することで、コミュニティが醸成していきます。」

アクセラレータープログラム開発事業部のやりがいは?

杉野さん「消えないパッションを見つけてほしい。そんな思いから、起業家に寄り添う意識で働いていますが、その結果がいろいろな嬉しいカタチとなって返ってくるのがこの仕事です。

言葉で感謝されることも嬉しいですが、プログラム終了後に伝わってくる参加者さんたちの事業進捗もすごく喜ばしいもの。『資金調達ができた!』という進捗が入れば、前進できているのだと嬉しくなります。

また、自分が世の中に役立つ事業と関われたことも嬉しいです。アクセラレータープログラム開発事業部では、本気で夢を追う人たちと日常的に接することができるのも魅力。

これからも起業家というパッションの塊に尊敬の念を抱き、自分もそうありたいと邁進してアクセラレータープログラム開発に取り組んでいきます。」

以上が、杉野さんにフォーカスしたアクセラレータープログラム開発事業部のご紹介でした。

次回のお仕事クローズアップでは、同事業部が携わった集英社のスタートアップアクセラレータープログラム「マンガテック2020の裏側をリポートします!

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