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ツクリエのコミュニティマネジメント・プログラムに密着【コミュニケーション編】


起業支援施設で、人と人をつなげる交流支援を行い、その場から生まれる価値を最大化していく役割を担うコミュニティマネージャー(以下CM)。
ツクリエではCMの育成にあたる「コミュニティマネジメント・プログラム」を実施しており、スタッフはこのプログラムを経て、日々の幅広い業務内容に役立てています。

今回はこのプログラムの内容を、前編・中編・後編に分けてお届けします。
コミュニティマネジメント・プログラムではどんなことを学べるのか、そしてそれがどのようにCMの仕事に活かされるか、気になるプログラムでの様子やカリキュラムを一挙公開!

CMのお仕事に興味のある方はぜひ、最後まで見てくださいね。

中編:ファシリテーション編はこちら▼

後編:プランニング編はこちら▼

コミュニティマネジメント・プログラムとは

イベントの企画運営や施設運営、マッチング⽀援等の起業支援業務全般に従事するCM。
そこでツクリエでは、CMの育成として定期的なコミュニティマネジメント・プログラムを実施しています。

これは、ワーク・ディスカッションを中心とした、DAY1〜6までの全6回、集合型オンラインプログラム。
CMのコアスキルである「コミュニケーション」「ファシリテーション」「プランニング」を学び、それに一人ひとりの「個性」を加えることで、より魅力的なコミュニティマネージャーになることを目的としています。

コミュニティマネジメント・プログラムを担当したのは高島聖也さん!

今回のコミュニティマネジメント・プログラムを担当したのは、ツクリエのシニアマネージャー・高島聖也さん。
高島さんは入社後、起業支援施設のCMとして、イベント企画運営250本以上、起業検討者のメンタリングを400人実施しており、現在はStartup Hub Tokyo 丸の内の統括マネージャーとして従事しています。

今回のプログラムにおいてはワークの促進、学びの定着、プログラム自体の改善・改良と、プログラム全般のコーディネートを担いました。
以降は高島さんのコメントも交えながら、コミュニティマネジメント・プログラムの様子を伝えていきます!

コミュニティマネジメント・プログラムの中身を公開

コミュニティマネジメント・プログラムの目的としては、以下の3つが挙げられます。

①コミュニティマネジメントを定義し、理解する
②上記で定義したコアスキルを成長させる
③自分の個性に気づき、活かし方を知る

唐突に挙げられると、ちょっと難しく感じてしまいますね。

「つまりどういうこと?」

この目的の意味を理解するにあたって、まずは“コミュニティマネージャー”という職業の定義からおさらいします。

コミュニティマネージャーとは?

一般的にいわれるCMとは、顧客や見込み客、ファンたちとのコミュニティを組成して、新たな価値を生み出す仕事をする人のこと。
オンライン・オフラインの双方でコミュニティメンバーとのつながりを深め、事業成長に関するアイデアを発見したり、販売・利用促進の起点としています。

一方で起業支援のCMとは、ビジネスマッチング・チームビルディングといったコミュニケーションの手助け、交流しやすい場づくり、時には会議でのファシリテーションまでと業務内容は幅広いです。
コミュニケーションの形成だけでなく、コントロールすることも必要とされる、いわば“場の演出家”でもあります。

コミュニティマネジメントの3つのコアスキル

コミュニティマネジメントにおいては、3つのコアスキルである「コミュニケーション」「ファシリテーション」「プランニング」が必要とされます。
プログラムではこれら一つひとつにスポットをあてて、ワークやディスカッションを交えながら、コミュニティマネジメントのスキルを向上していきます。

前編でお伝えするのは、コミュニケーションスキル向上のためのトレーニングの様子です!

ワーク|自己紹介・3分間インタビューマラソン

今回のコミュニティマネジメント・プログラムに参加したのは、全員で6名。
みなさんから自己紹介を……といいたいところですが、既にここからグループワークは始まっています。
“自分から話さない自己紹介”として、質問形式で相手の魅力を引き出す「3分間インタビューマラソン」が、このプログラムにおける自己紹介にあたります。

3分間インタビューマラソンのやり方は、語り手は次の語り手(インタビュアー)から質問を受け、語り手は質問に答えるかたちで、自分のことを3分間で話すというもの。

インタビュアーは他参加者のリアクションなども見ながら、語り手についての理解が深まるような質問を問いかけます。

・仕事内容を教えてください
・趣味や休みの日の過ごし方は?
・血液型は?
・今の仕事においての困りごとはありますか?
・自身の強みは?

ビジネスからプライベートな話題も含め、和やかな雰囲気の中、3分間インタビューマラソンが行われました。

ワーク|壁打ちトレーニング&ディスカッション

☞壁打ちトレーニング
壁打ちトレーニングは“聞き手”と“話し手”に分かれ、2人1組、3つのグループに分かれます。
それぞれのルームに分かれたら、約10分間でテーマに応じた壁打ち(話を誰かに聞いてもらって考えを整理すること)を実践します。
コミュニケーション編での壁打ちトレーニングのテーマは「最近もやもやしていること」「わたしらしさってなに?」でした。

制限時間が過ぎたら、今度は役を入れ替えて再度行います。
ここで大切なのは、単なるお悩み相談にならないこと。
悩みを解決するのではなく、もやもやの言語化までを目標にしたワークです。
聞き手は話しやすさに意識を配り、質問のしやすさだったり相づち、うなずきだったりを工夫します。
最後に話し手は「話しやすい時間だったか」「もやもやを自分の言葉で表現できたか」の観点で振り返ります。

稲山さんは自施設のイベント企画において、内容は決まっていてもタイトルがなかなか決まらないと、もやもやを打ち明けました。
「それ、分かるかもしれない!」とうなずきながら「いつもはどうやってタイトルを決めているんですか」と、話を引き出していく稲生さんは共感を交えながら壁打ちをしました。

一方で稲生さんは、施設運営のやり方について「今はしないけれど、これからもやもやするかもしれない……」と、もやもやする可能性があることを稲山さんに相談。
ここでは一方的に稲生さんが話すだけでなく、稲山さんがポイントごとに同調したり、自身の経験談を入れながら相手の話に共感したりと、前向きな雰囲気の中で壁打ちは進んでいきました。

☞ディスカッション
壁打ちトレーニングを経て、初日最後のワークとなるディスカッションのテーマは「よい壁打ちとは?」でした。

壁打ちトレーニングの感想をチャットに入力後、3人2組のグループに分かれ話し合い、それぞれのグループの代表者から3分で発表をします。
話し合いのポイントは「それぞれの現場での壁打ちシーンを共有する」「壁打ちの良し悪しのケース」「われわれはどんな“壁”であるべきか?」です。

共感はもちろんのこと、話を聞きながら相手のバックグラウンドを深掘りし、相手のお悩みを根本的に理解するように気を付けているという和田さん。
和田さんには起業経験があり、過去に起業支援を受けたことから「第三者目線でラフに意見を伝えてくれる」のが、基本的でありつつも良い壁打ちだと考えているといいます。

澵井さんは「○○だと思います」といった不確かで曖昧な表現を使わないことや、否定をしないこと、そして分からないことがある時には、社内で分かる人をしっかりと探すことを心がけているそうです。

稲生さんはお二人の話を聞いて「それぞれの思う壁打ちの良いところを組み合わせることで、最強の壁打ちになるんじゃないですか!」と、最後にまとめました。

壁打ちトレーニングとディスカッションは、DAY1からDAY6まで全ての回で行われ、この2つのワークは高島さんがプログラムを作成する上でも、工夫をこらしたといいます。
特に壁打ちワークについては「多様性を感じてほしい」という思いから、他の全参加者と実施できるよう毎回組を変えながら実施されました。

講義|自己認識と他者認識の違いを知る

DAY5に行われたプログラムの後半では、講義を交えながら、ワークとディスカッションを中心に進められました。
ここでは高島さんから、自己認識とは何か、そして自己認識ができているとどんなことができるようになるかの講義からはじまります。

ここで参加者に問われたのは「自己認識の現在地」。
これは自分のことをどれだけ分かっているか、0〜100のスコアで表すというもの。
参加者が直感でスコア入力をすると、40・60・70・80と、答えは様々。
このワークを通して、自己認識力の2つの分類と、自己認識を支える7つの柱について学びました。

ワーク|自己分析ツール・ジョハリの窓

講義のあとは、コミュニケーション編の最後のワークとなる、自己診断ツール「ジョハリの窓」に取り組みました。

30分のワーク終了後、それぞれの組の代表者からワークの感想が述べられました。

稲山さん「開放の窓が多く、自分で分かっている姿と他人から見えている姿が一緒なんだと感じました。仕事の中で『自分をこう見せたい』と思って動いているので、そこがしっかり相手にも伝わっている点では、安心材料になりました。」

澵井さん「盲点の窓が多く、これは自己評価に厳しく他人からよく見られたいという自分の性格が出ていると感じます。また、頑固で喜怒哀楽が表情に出やすい部分があるのですが、これは人からは見られていないところだったので良かったです。」

このワークをふまえて「自分の個性とは何か」を考えるきっかけになってくれればと、高島さんは参加者に伝えました。

ディスカッション|自己認識と他者認識

最後のディスカッションのテーマは「自己認識と他者認識」。
ジョハリの窓で使用した自己分析シートを話のタネにしながら、ディスカッションを進めました。

・ワークの結果は自分にとってどうだったか
・自己認識と他者認識を比較してわかったこと
・自分の個性、意外な見られ方、こうありたい姿

ディスカッションでは各グループで“自己肯定”についての話題が上がっていました。
それをふまえて、高島さんが参加者に向けて伝えたことを、最後に紹介します。

「自己肯定というのは、自分を肯定するという“行動”で、自己肯定感というのは、自分が肯定されているという“感覚”のことを指します。自己肯定感が低いと感じるのは、自己肯定がうまくいっていない可能性があります。そこで取り入れたいのは、自分の良いところを紙に書き出してみたり、ここ一ヶ月で褒められたことをノートに書き溜めるといったアクション。

例えば3人以上から同じことを言われたとしたら、それは自分のパーソナリティであるので、自分では否定していても自然と受け止められるんです。もし自己肯定感が低いと感じることがあれば、自己肯定をする、小さなアクションから始めてみるといいと思います。」

以上の言葉をもって、コミュニティマネジメント・プログラムのコミュニケーション編は終了となりました。

高島聖也さんよりコメント

今回のコミュニティマネジメント・プログラム、実はシーズン3とのことで、前回よりブラッシュアップした点がいくつかあると高島さんはいいます。

「まずはワーク内容の刷新ですね。具体的には『イベント企画のゼロイチ』につながる課題発見→着想→創案のグループワークを導入しました。また、サブファシリテーターを新たに参画。グループワークの際に必ず1名以上のファシリテーターが付き、やり取りが淀んでしまう時にサポートできる体制を組んでいます。」

更に今回は“リフレクションシート”の導入をし、各プログラム終了後に、アンケート形式で参加者よりプログラムに対しての感想や、意見を集めました。
これは、学びの定着と悩みの早期発見を図るために運用を開始したといいます。

全体の1/6を“壁打ちトレーニング”に当て、体術としてのコミュニケーション力を高めることを特徴としたコミュニティマネジメント・プログラムのコミュニケーション編。
各カリキュラムの雰囲気は回ごとに様々ですが、CMの経験があるメンバーが参加するため、お互いすぐに打ち解けていく点は共通していると、高島さんは話してくださいました。

今回はツクリエのコミュニティマネジメント・プログラムの「コミュニケーション編」をお届けしました。
参加者はCMの定義を再認識しつつ、起業支援に欠かせない壁打ちトレーニングを中心に、コミュニケーションスキルを磨きました。

次回の中編では「ファシリテーション編」を、後編では「プランニング編」の様子と、コミュニティマネジメント・プログラムを終えた参加者の声をお届けします。

それでは次回の公開をお楽しみに!

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