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ツクリエのワーパパ 2度目の育休奮闘中!


2023年 6月、政府が「こども未来戦略方針」を閣議決定し、2024年10月より児童手当の拡充や出産の保険適用、「産後パパ育休」制度の給付金引き上げなどが順次実施されることに。

国が掲げる“次元の異なる少子化対策”の実現に向けて、今後ますます加速するといわれる男性の育休促進。

現在、社員の育児サポート制度づくり(※)に取り組むツクリエでは、いち早く長期の育休を取得したワーパパ社員・秋吉亮さんが注目されています。

以前紹介したツクリエのワーパパ座談会にも登場した秋吉さんは、2023年8月から再び育休ライフへ! かつての右往左往しながらの新米パパぶりを振り返りつつ、育休を経験したことで変化したパートナーシップやワークライフバランスなどについて語っていただきました。

※2023年、ツクリエで進行中! 社員の育児サポート目標

●目標① 男性社員の育児目的による休暇取得を促進するための措置を実施
具体例:男性社員に対して、子どもが生まれる際の休暇や育児休暇(小学校就学前までの子どもを養育するための休暇)を取得しやすい環境整備を行う。

●目標② 育児・介護休業法の育児休業制度(原則1歳未満の子どもを養育する従業員すべてが取得可能)を上回る期間・回数などの休業制度の実施
具体例:子どもの看護休暇を1年間に1人につき6日間を限度として取得できることとする。

【育休パパ社員プロフィール】

秋吉 亮さん
所属:経営管理グループのスタッフとして、ツクリエ全体の経理業務を担当。勤務地は、京都のレンタルオフィス・コワーキング施設「Ogyaa’s御池」。
勤務形態:平日勤務(9:00〜17:30)※現在、第2子誕生につき2回目の育児休業中(本年8月より12ヶ月取得予定)
家族構成:妻(共働き)、長男(保育園2歳)長女(生後1ヶ月)

秋吉さんの育休ライフ
1DAYルーティン(生後2ヶ月目当時)

積極的に「育児に関わりたい」と半年間の育休を決意

最近の子育て世帯では、特に若い世代(20〜39歳)で の女性は「家事・育児の時間を減らし(34%)、仕事時間を増やしたい(29%)」と思い、男性は「仕事時間を減らし(34%)、家事・育児の時間を増やしたい(28%)」と思う傾向にあるそう(※1)。日本でも心と身体、そして社会的にも良好な状態をあらわすWell-being(ウェルビーング)の考え方が広がりを見せる中、新しい生活様式や働き方に対する国民意識の高まりがうかがえます。

こうした世相の変化にあわせて男性の育休取得率も、わずかながら増加傾向に(※2)。直近の企業調査(※3)では、今年6月末までに回答した従業員1,000 人超の大企業における男性の育休等取得率は46.2%。そのうち育休取得日数の平均は46.5日であったといいます。

※1 内閣府「令和4年度新しいライフスタイル、新しい働き方を踏まえた男女共同参画推進に関する調査」
※2 厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査」における男性育休取得率は17.13%(前年度は同13.97%)
※3 厚生労働省イクメンプロジェクト「令和5年度男性の育児休業等取得率の公表状況調査(速報値)」全国の従業員1,000人超のすべての企業・団体に調査(有効回答数:1,472件/回答率:33.4%)

とはいえ、すべての企業で男性の育休取得が“当たりまえ”になっていくには、もう少し時間がかかりそうな日本社会。大多数である中小企業で、部下の仕事と家庭生活の両立を支援する上司を増やすなど、いかに職場の意識改革を進めていけるかがカギになっていくでしょう。

そこで今回、男性育休の先進事例として紹介するのが、ツクリエで積極的に休業制度を活用している経理チーム所属の秋吉亮さん。現在、第2子誕生につき2度目の育休中で、前回の育休では大企業の平均取得日数をはるかに超える6ヶ月 (およそ180日)取得しました。

休業は、第1子の長男出生後すぐの2021年1月から開始。共働きの奥さんは出生後8週間の産休に加え、子が1歳3ヶ月(2022年4月)になるまで育休を取得しているので、育児初期の半年間を夫婦協働で行ったことになります。

母となった女性にとって、出産前後はホルモンバランスの激変などから体調不良にも見舞われやすい時期。心身ともに大変な“ワンオペ育児”の負担軽減として、秋吉さん自らも出生直後から育休に入ったのでしょうか。

秋吉さん「ワンオペ対策を特に意識していたわけではないのですが、妻が産後しばらく身体を安静にしておく必要があったので、長男が生まれてすぐに私も育休を取ったのは結果的に良かったと実感しています。
私たちは大阪在住で、それぞれの実家は他県にありますから、親たちに気軽に子育てのフォローを頼めないという事情もありました。

それに、私自身が“最初から子育てに関わりたい”と感じていたことも育休取得の大きな理由。妻が妊娠するまでは、子どもに関心があるタイプではなかったのですが、いざ自分の子が生まれるとなると意識は変わるもので(笑)。

今の時代、子をもてる機会は一生で1度か2度あるか無いかだと考えたら、赤ちゃんの頃から自分の手で育てるという経験は、とても貴重に思えたんです。」

いざ育休を取るときに心配だったのは「周囲の反応」

男性が取得可能な育休期間は、原則として配偶者の出産直後(または出産予定日)から1年間とされています。2022年度の法改正で育休期間を2分割できるようになったほか、新たに「産後パパ育休」制度もスタート。
通常の育休とは別に女性の産休期間(出生後8週間)のうちに、男性も最長4週間まで休業(2分割での休業も可)することができるように。

秋吉さんの場合、第1子出生時は改正法の施行前だったため、当時取得可能な育休期間の半分を一気に取ったことになります。冒頭の調査結果にもあるように、大企業でも男性の平均取得日数は1ヶ月半程度。ツクリエ内でも半年にわたって育休を取った男性社員はなく、秋吉さんは当初、「半年も休みたいなんて申し出たら、職場の人たちから反感をかうのでは……」 と不安を感じたと言います。

秋吉さん「結局のところ、こうした心配は取り越し苦労でした。当時、経理部門の管理を兼務されていたツクリエの鈴木社長に育休取得について相談したところ、社員の当然の権利として『ぜひ、半年取ってください』と快諾してくださって。業務の引き継ぎなどもサポートしていただいて、本当にありがたかったです。」

男性社員が育休を取ろうとする際、上司をはじめ周囲の反応に対する気兼ねが、精神的に高いハードルになることも。
「育児や介護など従業員の家庭の事情に理解があり、支援体制づくりにも取り組んでくれている職場のありがたさを実感しています」と秋吉さん。

その後、長期の育休中でも月1〜2回ほど出勤またはリモートで必要な業務やミーティングを行なえるよう体制が整えられたことで、職場からの孤立感を抱くこともなかったと言います。

新米パパ、連日の睡眠不足に心身の疲労MAXに!

第1子が誕生した喜びとともに秋吉さんの日常にやってきたのが、赤ちゃん中心に目まぐるしく時間が過ぎていく育児ライフでした(1DAYルーティン図参照)。一般的に、初めての育児で多いのが「赤ちゃんが、なぜ泣いているのか?」と悩んでしまうことだそう。さっき授乳したはずなのに、なぜグズるのか。オムツが濡れているのか。それともお腹が痛いのか…… など、秋吉さんも授乳やオムツ交換のタイミングをつかむまでは苦労したのだとか。

秋吉さん「最初の2ヶ月くらいまでは、わからないことが多すぎて本当に大変でした。出産前に市役所が主催するプレパパ講座に参加して沐浴のやり方など基本的な育児スキルを教わったり、産後も保健師さんが何回か訪問指導してくださったりしたのですが、知識があっても実践するのは難しくて。オムツを替えようと脱がせた瞬間に噴水のようにオシッコが……な んて失敗を何度したことか(苦笑)。

夜も8時くらいまでには寝かしつけるんですが、2〜3時間ごとに起きるので妻が母乳をあげたり、深夜は私が起きてお湯を沸かしミルクを作ったり。子どもと一緒に昼寝をするようにしていましたが、育児が始まってからは1日の睡眠時間が4〜5時間と激減したのが体力的にキツかったです。」

慢性的な寝不足に心身ともに疲れが溜まりながらも、日々成長していく子どもの姿を目の当たりにすると「疲れが吹き飛ぶほど嬉しかった」と微笑む秋吉さん。生後2ヶ月を過ぎたあたりに「あうぅ」と発話らしき第一声を耳にしたときの喜びは忘れられないそう。「最初は20ccの粉ミルクを飲むのに20分近くかかっていたのが、日に日に飲むスピードが速くなって。ずっと寄り添っているので些細な変化もよくわかり、子どもの成長を肌感覚で実感できた育休期間は本当に貴重でした」と振り返ります。

「察してほしい妻」と「汲み取れない夫」が
育児を通して学んだこと

初めての育児に二人三脚で取り組み始めた秋吉夫妻。当然ながら、秋吉さん同様に奥さんも子育てはわからないことばかりだったはず。「けれど、ついつい妻にいろんなことを訊いてしまっていたんですよね、『これ、どうしたらいい?』と。私は良かれと思って質問していたのですが、お互いに寝不足で気持ちに余裕がなくなってくると『私だってわからない。何でも私に訊けばいいと思われても困る』と怒られ、私もカチンとして喧嘩になってしまったこともあります」と苦笑いする秋吉さん。
いわゆる「言わずとも察してほしい妻」と「その思いを汲み取れない夫」という男女間の“あるある”な構図が、秋吉家でも育児を通して浮き彫りになったよう。

秋吉さん「妻は『言わなくても、ちゃんとやってほしい』と思っているようですが、夫の私としては頑張ってやっているつもりだし、不満な点があるのなら『ハッキリ言ってくれないと、わからない』というのが本音で。女性の気持ちを察するのは難しいですが、それでも妻の様子がいつもと違うと感じたときは、早めに話し合う機会をつくって理解する努力をすべきだと痛感。これは育休期間における大きな学びのひとつでした。」

そうしたパートナーシップの経験則びから、秋吉さんの育休が終わって職場復帰してからの家事分担について、奥さんからハッキリと「分担の比率を見直してもらいたい」と申し出もあったのだとか。

秋吉さん「私が職場復帰した後も妻の育休は続いていたので、家事と育児の大半を妻が一気に背負うことになってしまって。私が育休中にやっていた掃除や洗濯まで妻が担い続けるのは『ちょっと負担が多すぎる』という指摘から、あらためて話し合って分担を調整し直しました。その後も妻の育休が終わって息子が保育園に入るなど、家庭内の状況が変わるごとに話し合いながら調整して支え合っていこう、というスタンスを続けています。」

新米パパとして奮闘すること2年半。今やオムツ交換も手慣れた上に、二児の父となった秋吉さんが目指すワーパパ像は、「どちらかといえば“家庭志向”で、基本はメリハリをつけて仕事と家庭生活の両方を充実させられる父親」なのだとか。
あえて“家庭志向”と強調した理由は、「育休を通じて子どもの成長を直に見てきたことで、『これからも近くから子どもたちの成長を見守りたい』と強く感じたから」と言います。

そんな秋吉さんは、自身の育休経験を「ツクリエの子育て世帯の男性社員には、仕事と家庭の両立を試みたモデルケースとして参考にしてもらえたら」と考えているそう。
多様な価値観のもとで、さまざまな働き方が試みられている今、男性にとって育休を取得することがキャリア形成の妨げになるのではなく、Well-beingの実現に向けた貴重な機会となることを、秋吉さんの取り組みから教えてもらえたと言えるでしょう。

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