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集英社×スタートアップ。 新しいマンガビジネスに挑む“マンガテック奮闘記” ~前編~


鬼滅の刃、呪術廻戦、ONE PIECE、ドラゴンボール……etc.
ときに世界も巻き込みムーブメントを引き起こす日本のコミック界。
2021年の推定販売額は紙+電子媒体を合わせ総額6,759億円となり、2年連続で過去最高を更新したのだとか……!

世界にも影響を与え、売上も好調な日本のコミック市場。その市場に“新しいマンガビジネスの可能性”を開拓すべく、コミック売上№1を誇る集英社がアクセラレータープログラム「マンガテック2020」を開催。

“従来のマンガビジネスにとらわれない”
“新たなマンガビジネスの誕生につなげる”

そんな新しいマンガビジネスの開拓を目指す集英社とスタートアップの架け橋になったのが、実は、ツクリエの企画開発チーム(注:当時の部署名)であった……!

というわけで、今回のお仕事クローズアップは「マンガテック奮闘記(前編)」と題し、企画立案から実施計画の落とし込みまでの道のりをお届けします。
※ツクリエのアクセラレータープログラムについては「2022年6月公開のお仕事クローズアップ」をご参照に。

~マンガテック2020とは?~

2020年の夏に始動した、集英社×スタートアップのアクセラレータープログラム。従来のマンガビジネスにとらわれない斬新な事業アイデアを持つスタートアップと共に、集英社と新しいビジネスの共創を目指すプログラム、それがマンガテック2020だ!※詳細はバナーをクリック。

~登場人物紹介~

大藤 充彦さん(Director/Planning Team)
マンガテック誕生のキッカケをもたらしたこの奮闘記の主人公。当時アクセラレータープログラム初挑戦だったゆえ0→1の奮闘にもがく。

得意:頭のなかでどんどん思考を広げていくアイデア発想マン。
苦手:本をゆっくり読むこと(せっかちなので)。
推しマンガ:熱さが好きという理由でイチオシは「海猿」。最近の推しは「タコピーの原罪」「SPY&FAMILY」「推しの子」など。

熊坂 美弥子さん(Project manager)
マンガテックの運営がスムーズにいくよう細やかなフォローでサポートした縁の下の力持ち!

得意:マルチタスクが得意で同時進行が苦じゃないタイプ。
苦手:デザイン系のクリエイティブが苦手ゆえパワーポイントに苦戦しがち。
推しマンガ:お兄さんが少年ジャンプを読んでいたことから「SLAM DUNK」にハマる。
熊坂「SLAM DUNKは電子書籍化されていないのでしてほしい!」

奮闘記のはじまり……

前職で知り合ったマンガ業界の巨頭、集英社さんといつか仕事がしたいと思っていた大藤。
知人である株式会社集英社「少年ジャンプ+」編集長の細野修平氏に、「何か一緒にできませんか、まずは雑談からで結構ですのでお話しさせてください」と面会を打診。

そこから“マンガ×スタートアップで新事業を起こしてゆく”というテーマが見えてきた。これが、マンガテック誕生の第一歩である。

第1章 ゼロイチの大奮闘!

「当時の私は、アクセラレータープログラムを企画したことも運営したこともなく、正直、どうしたらいいかぜんぜん分からなかった」と振り返る大藤。
その約1年後、他のアクセラレータープログラムで企画・運営経験を積み、本企画の原提案に辿り着いた……!

大藤「アクセラレータープログラムはあちこちでやっているけど、基本的には、やり方などの情報は非開示なんですよね。そういう状況下で、誰が・どんなことをやっているのかを必死に調べながら構想し、同時に集英社さんのニーズもとらえつつ盛り込んでいく。

そうしながらも私は、“我々ならではのオリジナリティあるアクセラレータープログラムにしたい!”という思いで、様々なアイデアを詰め込みました。」

第2章 ほしい資料は目に焼き付ける! の巻

“いろんなアクセラレータープログラムの良いところを持ってこよう”
そう思っていた大藤だが、アクセラレータープログラムの情報は非開示。ネット検索から“いろんな良いところ”を探すにも限界が……!

大藤「そこで、アドバイスをもらえるお助けマンを探しました。知り合いを辿り、ご協力いただけるアクセラレーターの先輩方を見つけたんです。彼らからいろいろ教えてもらい、良いところ、やりたいところを取り入れて企画を練っていきました。

アドバイスを受けている際、『こういうふうにやっているよ』と資料を見せてくださったのですが、さすがに『その資料ください!』とは言えないので、資料の内容を目に焼き付けて、目コピーしたり(笑)。
そんな経験が、いまも当社のアクセラレーターのノウハウになっています。」

第3章 正しい応募フォームのすゝめ

集英社と新しいマンガビジネスを拓くには、同じ志と斬新なアイデアを持つスタートアップが必要不可欠。
そこで重要になってくるのが参加者を募る応募フォームだ!

熊坂「応募フォームは私が担当しましたが、なにぶんアクセラレータープログラムの運営に携わるのは初めてだったので不安いっぱい。応募フォームに何を入れればいいのか分からず、まずは真似っこから始めようと“アクセラレータープログラム 募集要項”で調べました。

四苦八苦と検索した結果分かったのが、プログラムの応募フォームは基本的に募集期間が過ぎると消す傾向にあるということで……。

それでも執念深く検索していると現在進行形の募集フォーマットが数件ヒットし、それを参考にマンガテックのカタチに整えていきました。」


応募フォームでの伝え方を間違えば、集英社側とスタートアップ側のあいだにミスマッチが生まれかねない。
そんなリスクを抱えながら、熊坂はさらに奮闘する……。

熊坂「数件ヒットしたお手本から応募フォームに何を入れるべきか見えてきたものの、今度はそのお手本をマンガテック版に落とし込む作業に苦労しました。
マンガテックのWEBサイトを熟読し、集英社さんがどういうスタートアップを期待しているか読み取っていきましたが、書き方ひとつ間違えば主旨を勘違いさせてしまう
たとえば、マンガテックは集英社との共創プログラムですが、集英社のマンガだけを取り扱うビジネスを募集しているわけではないこと。主語やニュアンスにより正しく真意を読み取ってもらえない可能性があり、すごく気を使いました。

もう1点気を使ったのは、一定の書類選考の判断ができるような工夫です。たとえば、あなたの夢を語ってくださいという項目を置く場合、(100~300文字以内)と記載するなど。
一行で簡潔に書く人もいれば作文用紙一枚分くらい書く人もいるので、どんなタイプの人も同じような情報量で判断できる工夫をしました。」

第4章 呆然! 途方に暮れた実施計画の落とし込み

苦労に苦労を重ねて創り上げた企画案&応募フォーム。ホッとしたのもつかの間、次なる試練があらわれる。
それは企画案を“実施計画”に落とし込んでいくというものだった……!

大藤「企画したものをいざ実行していくとなると、あまりにもやるべき作業が膨大にあり、正直、不安になりました
たとえば、細やかな事務作業、企画書には記載されていないメンターへの説明会、それにともなう準備。他にも応募の結果通知書をつくったり、マンガテックの名前を商標登録したり、集英社さんやメンターたちの日程調整などなど。やるべきことを挙げたら切りがなく、途方に暮れました。」


実施計画を考えれば考えるほどやるべきことが増えていく……。何から着手しようと途方に暮れるなか、“とにかく核になる企画から手を動かしていこう!”と踏み切ったのだとか。

そして大藤は、「メンタリングの計画を整理整頓してみたときに、長いトンネルの出口が見えたんです」と語る。

大藤「メンタリングにはどんな種類があり、誰にやってもらい、どのタイミングでデモデイ(成果発表会)につなげるかなど、これらをしっかり組み立てていくことで全体像がなんとなく見えてきたんです。
さらにタスクを整理し、タスク毎にスケジュールに落とし込んでいく。これで作業が整理整頓され、だんだんと不安が消えていきました。」

新しいマンガビジネスを目指して始まったマンガテック。このワクワクする挑戦は、ツクリエ大藤の挑戦でもあった。

次回後編は、WEB構築やメンタリングにフォーカス。ツクリエWEBチームの河野もログインし、共に奮闘!

「ジャンプアプリ開発コンテスト2022」のお知らせ

新しいマンガビジネス創出の可能性を探る「ジャンプアプリ開発コンテスト2022」が、6月8日よりエントリー募集開始! コンテスト第4期となる今回は、全3回のトークイベント「ジャンプのミライ2022」と連動しているのだとか。少年ジャンプ+編集者たちと開発者たちの“生の声”が聞けるトークイベント第3回目は、8月24日(水)18:30からスタート。
オンライン開催のこのイベントで、ジャンプのミライを覗いてみよう!

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