2040年はどんなミライ? 川崎重工業㈱さんとのコラボイベントをレポート!
いまから17年後……2040年のミライはどんな働き方をしているんだろう?
きっといまよりも働くロボットが増え、人の仕事や生活のありかたが変わっているかもしれない。
そんなミライを予想し、経営者思考を育むイベントが開催されました。
イベントを手掛けたのは、「ロボット」と「起業支援」のプロフェッショナル集団。
日本初のロボットメーカー「川崎重工」×ツクリエの起業家教育プロジェクト「ミライクルラボ」がタッグを組んだ工場経営体験ワークショップ、レポートしていきます!
どんなイベント?
“ロボットと働くミライを想像する”
一見、ワクワクと心が躍るテーマ。しかし、イベントの内容は超リアル!
ロボットや機械などの配置により大きく左右される生産量。年間計画書、収支計画書の作成。予算内で必要な機械とロボットを購入。人件費にロボットのメンテナンス費。世界の動きを予測しながら経営戦略。
工場の経営者となった子どもたちは、数字と睨めっこしながら電卓を叩いて叩いて叩きまくる!
これまでミライクルラボが手掛けたどのイベントよりもシビアで実践的なこのイベント、まずは案内人からご紹介します。
~イベント案内人~
神奈川県出身。2020年に宮崎県の都農町に移住し、町内のデジタル推進・キャリア教育推進に準備段階から携わる。この経験をきっかけに地域の創業支援に関心を抱き、2021年ツクリエに入社。所属の起業支援施設ではイベント企画やコミュニティ運営を担当し、同時にキッズ向け起業家教育事業にも従事。2022年8月にTOKYO CIC主催で開催した“アントレプレナーワークショップ”は、TBSテレビの情報番組“ひるおび”で紹介された。
2016年にカワサキロボットサービス株式会社に入社。東京のお台場にある産業用ロボットショールーム「Kawasaki Robostage」の運営を担当。2018年から子ども向け産業用ロボット操作体験イベントをスタートし、ショールームの運営と並行してイベント企画や他社とのコラボコンテンツの制作にも携わる。
2040年のミライを想像しよう!
下記画像は、文部科学省が作成した「2040年の未来」ポスター。参加者の子どもたちが25歳~27歳になっている2040年の未来を予測しています。
Q なべっち「2040年はどんな生活をしている?」
A 子どもたち「ロボットと生活している!」「箱型のロボットがいる」「ドローンが増えている」「空飛ぶ車がある!」
Q なべっち「2040年になくなっているかもしれない仕事は?」
A 子どもたち「工事する人」「運転手」「パン屋さん!」「危険な仕事」「レジ打ちの仕事」
Q なべっち「2040年に残っている仕事は何だろう?」
A 子どもたち「人だからできる仕事!」「簡単な仕事」「大統領」「学校の先生!」
子どもたちの意見を聞きながら、なべっちは一般的にいわれている「2040年になくなる仕事、なくならない仕事」を紹介。2040年はどんな仕事が「人」の仕事になるのか? この質問に正解はないけれど、なべっちはキーワードとして「意思決定」を挙げました。起業家や経営者も、意思決定する人。参加者の子どもたちは意思決定する「工場経営者」となり、いよいよワークに挑戦です!
【ワークの内容】
実際のロボットや工場を見てみよう!
工場経営のイメージが湧くよう、動画を流しながらチョウさんが実際の「働くロボット」や「工場の様子」をご紹介。溶接するロボット、新幹線を塗装するロボット、フランスパンに切り込み(クープ)を入れるロボット、仕分けするロボット、基盤を組み立てるロボットなど、いろんなタイプのロボットを紹介してくれました。
ちなみに、同じロボットでもプログラムを変えれば違う仕事ができるそう。
☞産業用ロボットは世界中にあり、その数は300万台ほどあるそうです。
工場を設計しよう!
チョウさんの説明から、現状の働くロボットや工場の様子を知った子どもたち。ここからは経営者となり、工場の設計に踏み込んでいきます。
≪工場を選ぼう≫
自分たちの経営する工場はどれにしよう? ①~⑧の種類から、それぞれ経営したい工場を選んでいきます。
☞子どもたちはペアを組み、どの工場を経営したいか考えます。今回選ばれたのは②運送倉庫、④JA(農産物集積所)、⑤電子製造工場、⑧医薬品製造工場でした。
≪工場の設計ルール≫
・予算3,000万円
・従業員は必ず1名雇う
・ロボットは「ものをつくるロボット」「仕分けるロボット」の2種類必要
≪ベルトコンベアをつくってみよう≫
3Dプリンターで作成したパーツでベルトコンベアを設置します。
☞工場内のベルトコンベアや仕分けロボットの動きが分かるよう、みんなで観た川崎重工さんのYouTubeチャンネル「Kawasaki Robostage Channel」内にある動画。
≪年間計画書を作成しよう≫
予算3,000万円を考慮し、製品カタログから工場運営に必要なものを購入していきます。「合計金額」「生産量」「仕分け量」をそれぞれ足し算したら、今度は「予算」から「合計金額」を引き算。
☞年間計画書のワークシート。ここに書き込んでいきます。
≪予測と戦略≫
世の中の動向からお金の動きを見通し、会社の「利益」を予測して2年目の経営戦略を考えていきます。収支計画書のワークシートを使い、「売上」「支出」「利益」を計算。なお、運送倉庫は「原価5%、ガソリン代40%、電気代15%」、JAは「原価35%、ガソリン代4%、電気代22%」といったように、工場の種類により支出の割合を変えています。
☞お父さんとお母さんに相談しながらも、ときにはなべっちに教えてもらいながらも、一生懸念に電卓を叩く新米工場経営者たち。
≪決算≫
一定期間(基本は1年間)の収支を計算し、利益や損失を算出する「決算」。工場経営者のみんなにも「決算」を報告してもらいました!
Q なべっち「みんないくら残りました? 利益を教えてください」
A 運送倉庫チーム「659万円」、JAチーム「624万円」、電子製造チーム「587万円」、医薬品製造チーム「477万円」
決算を報告し、1年目の工場経営を終え、いよいよ2年目に入ります。
2年目は生産ロボットを増やし、利益拡大を狙っていきますが、ここから「世の中ガチャ」というガチャガチャが登場します。ここに入っているのは、経営を左右する「世の中の変化」。2年目はこのガチャ結果から戦略を立てるというシビアさも加わり、工場経営をしていきます。
なべっち「台風が発生しました! 農産物に大きな影響が出ています! JAの原価が2倍になります……!」
☞世の中ガチャには、全ての工場が影響を受けるものもあれば、特定の工場のみ影響を受けるものも。
ガチャの影響を受けたのはJAチーム!
各工場チームは2年目の新しい条件を盛り込みながら計算し、その結果、決算ではJAチームの利益が「マイナス608万円」と赤字に……。
さらにワークショップは続きます。
3年目の工場経営に入り、人は成長することから工場の効率がアップされ、工場全体の生産量が1.5倍、仕分け量も1.5倍に。この条件にプラスして、各チームそれぞれ世の中ガチャを引きます。
こうして工場経営1年目から3年目までを体験した子どもたち。
イベントのまとめとして、最後になべっちからメッセージをもらいました。
なべっち「今日は経営というものを体験してもらいました。すごく儲かった工場もあれば、あんまり儲からなかった工場もあります。従業員がいれば2年目から生産量や仕分け量が1.5倍になりましたね。一方、ロボットは毎日同じことを疲れずにやってくれます。人間は疲れてしまう代わりに意思決定ができるから、『こうすれば効率がよくなるかも!?』と改善できます。
みんなが大人になる2040年頃は、いまよりもさらに人口が減っていると予測されているから、人々の生活を支えるモノづくりは、ますますロボットに頼る必要があります。ロボットが人の仕事を奪うんじゃなくて、ロボットが得意なことはロボットに。人が得意なことは人に。きっと、そんな協力し合う関係になっていくと思うから、このイベントを機に人とロボットのミライを考えてほしいです。
また、『ここはロボットでもできるじゃん』『このロボット、1台使うといくらになるだろう?』といった目線を持つことが起業のキッカケになるので、生活のあらゆるシーンで考えてみてください。」
~ロボットおすすめYouTubeチャンネルご紹介~
働くロボットといえば、今回コラボレーションさせていただいた川崎重工さん! 半世紀以上前に産業用ロボットを日本で初めて生産し、その後も時代のニーズに合ったロボットを次々と開発。東京・お台場に開設されたショールームでは、最先端のロボット技術を見て・触れられます。
「Kawasaki Robostage」チャンネルでは、ショールームの展示内容だけでなく、マスク製造装置やヒューマノイドロボットの災害救助デモ、ロボットによるお弁当のふた閉め作業などなど、いろんなロボットを見ることができます。
いま働くロボットの活躍を楽しみながら、2040年のミライを想像していきましょう!
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