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『起業ってなに?』をよみとくWebマガジン

「起業に大切なこと」とは? 田園調布高校で出張授業!


“起業家に寄り添う”をミッションに掲げるツクリエは、いったいどんなお仕事をしているのでしょうか?

この「お仕事クローズアップ」シリーズでは、ツクリエの事業内容を掘り下げてご紹介。ホームページでは伝えきれないツクリエの仕事や情熱をお届けします!

今回取り上げるのは、東京都大田区にある東京都立田園調布高等学校で実施した出張授業。

「生徒に“進学”以外の選択肢があることを伝えたい」

熱い想いをもった先生から、同じ大田区にあるツクリエの運営施設・六郷BASEに相談があったことをきっかけに授業が実現。

講師は六郷BASEでコミュニティマネージャーを務める太田尚緒美さんが担当しました!

太田 尚緒美さん(Director/Planning Team)
東京都大田区にある受託施設・六郷BASEのコミュニティマネージャー。
武蔵野美術大学でコミュニケーションデザインを学び、地域の人を対象としたイベントの企画・運営などを経験。大学卒業後はグラフィックデザイナーとして主に紙媒体のデザイン業務に携わった後、イベント運営業務のディレクターをした縁で株式会社ツクリエに入社。

出張授業の舞台・田園調布高校

今回出張授業の依頼をいただいたのは、東京都立田園調布高等学校(以下、田園調布高校)。

東京都教育委員会から「進学指導研究校」「英語教育研究推進校」など様々な指定校に指定されている伝統ある都立学校です。

東京都では、道徳教育とキャリア教育を一体的に学ぶ教科「人間と社会」を平成28年度より設置し、全都立高校で実施。

当校でも1学年に同教科を取り入れ、「自らの興味・関心に価値を見出す」という言葉をキーワードに探究を行っているそう。

今回の授業には、「人間と社会」のカリキュラムの中から「サービス・ものつくり起業コース」を選択した20名が参加しました!

「起業の全体像」を40分間に凝縮!

「どのような観点で課題を見つけ、それをチャンスに変えていくか。生徒が自らのアイデアでどう新しい一歩を踏み出せば良いのか、起業の全体的なイメージを伝えて欲しい」

高校から事前にそう伝えられていた太田さん。

授業では「起業に大切なこと」をテーマに、起業家にはどういう人がいるのか、起業をするために必要なことは何か、アイデアをどう形にして起業へ繋げるのかといった起業の全体像を、約40分間にぎゅっとまとめてお話ししました。

太田さん「まだ起業について具体的に考えていない生徒も多いので、話が専門的になりすぎないよう意識しました。40分間という短い時間で、伝えたいことが伝わるのかが心配……。」

そんな不安を口にしながらも、 準備万端で授業開始を待ちます。

有名起業家だけが起業家ではない

カリキュラムの前期では、起業家から直接「なぜ起業したのか」という話を聞いた生徒たちに向けて、授業前半では起業家とはどういう人を指すのか、実際にはどういう起業家がいるのかを振り返りました。

太田さん「『起業家』というと、ソフトバンク、Facebook、アップルなど、大手企業の有名な人たちの名前が挙がりがちですが、 世間には1人で事業を営む人や、一般的にはあまり知られていないサービスで利益を出している人もいます。」

そう続き、建物の屋根について研究開発する人、WEBサイトやチラシを作る人、就労支援施設の運営をサポートする人などを例に挙げ、どんな事業に取り組んでいるのかを紹介した太田さん。

様々な起業家の話に、真剣に耳を傾ける生徒の姿が印象的でした。

「好き」「役に立つ」どちらか一方ではうまくいかない

起業しようと思ったとき、「自分が好き・得意なこと」「誰か・何かのため」どちらかの理由で起業を考える人が多いかもしれませんが、どちらか一方では足りないとか。

太田さん「『自分が好き・得意なだけ』『誰か・何かのためだけ』では起業はうまくいかず、両方のバランスがとても大切。やりたいことが見つかったら、それは誰かの役に立つのか、自分は熱中できるのかを考える必要があります。」

田園調布高校では、実際にアイデアを見つけて誰かにインタビューをし、最終的にはプレゼンテーションも行うそう。

「最近はWEBで使える無料のアンケートフォームもあります。是非活用していろんな人の意見を聞いてみて。」と太田さん。

将来起業するかもしれない生徒たちへエールを送りました。

起業のアイデアはどう育てるか、アイコンなどを入れて高校生にも分かりやすく説明しています

大切なのは、小さく始めること

授業後半の「アイデアを形にする方法・人に伝える方法」というお話しでは、“プロトタイプ”や”ピッチ”など、専門的な言葉も出てきました。

段々難しい表情になる生徒たちに、少しずつ始めれば良いことを伝えます。

太田さん「手書きのラフでも大丈夫。いきなりうまくやろうとするのではなく、まずは小さく始めること。全てを分かってもらうのではなく、興味を持ってもらうことが大切です。」

授業後には「成功するのはどんな人ですか?」という質問や「いつか起業したいと思っています!」といった声もあり、高校生にとって“起業”は以前よりも身近なものになってきているようでした。

選択肢がたくさんあるのは良いこと。良い意味で悩んでほしい。

「“起業”といっても様々な起業の形があります。まだ起業を具体的にイメージできていない生徒が多い中、40分という短い時間でどうわかりやすく伝えるか。それを考えるのが1番難しかったです。」

そう振り返った太田さん。授業中は、生徒たちの聞く姿勢が印象的だったと話します。

太田さん「思っていたよりも生徒たちがすごく真剣で。質問も来ないのではと思っていたけれど、起業したいと考えている子もいるのには驚きました。」

太田さんが高校生だったときは、卒業後の選択肢は「進学」か「就職」。
「選択肢がたくさんあるのは良いこと」と話す太田さんに、高校生たちに今後どうなって欲しいか尋ねました。

太田さん「学生のうちに沢山選択肢があることを知って、良い意味で沢山悩んでほしい。興味を持てるものを早い段階で見つけられたらすごく良いですよね。」

“学生起業家”という言葉も浸透してきて、ツクリエが運営する施設でも高校生や大学生の相談が増えてきました。
まだまだ起業のハードルは低いとは言えませんが、アイデアを持った学生たちが一歩踏み出せるよう、ツクリエでは今後も支援を広げていきます。

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