起業支援の役割と仕事内容から比較! IMとCMの違いとは?
“起業家に寄り添う”をミッションに掲げるツクリエは、いったいどんなお仕事をしているのでしょうか?
この「お仕事クローズアップ」シリーズでは、ツクリエの事業内容を掘り下げてご紹介。
ホームページでは伝えきれないツクリエの仕事や情熱をお届けします!
今回は、似て非なる「インキュベーションマネージャー」と「コミュニティマネージャー」の違いをググッと掘り下げ!
インキュベーションマネージャーとは
ビジネスの立ち上げや成長支援を行うインキュベーションマネージャー(以下、IM)は、起業したばかりの方や起業を考えている方にとってのビジネスコーチであり、相談相手でもあります。
事業の知識やノウハウだけでなく、ビジネスプランのブラッシュアップから資金調達の支援まで、長期間にわたり支援を続ける、いわば伴走者ともいえる存在です。
コミュニティマネージャーとは
IMを伴走者とするなら、コミュニティマネージャー(以下、CM)は“媒介者”。
起業支援施設で、人と人をつなげる交流支援を行い、その場から生まれる価値を最大化していく役割を担っています。
ビジネスマッチング・チームビルディングといったコミュニケーションの手助け、交流しやすい場づくり、時には会議でのファシリテーションまでと業務内容は幅広いです。
コミュニケーションの形成だけでなく、コントロールすることも必要とされる、いわば“場の演出家”でもあります。
IMとCMの役割を比較
どちらも“起業支援”に変わりありませんが、IMの「成長・伸ばす」に対し、CMは「交流・つなげる」と、ニュアンスに違いがあるのが分かりますね。
IMにとっての大切な要素は、ビジネスの経験や知識はもちろん、専門家とのネットワークや、自己啓発を怠らないこと。
さらに、相談相手が“本当に言いたいこと”にポイントを置いて、それを理解する「傾聴力」も大事です。
一方でCMは、イベント企画、チームマネジメントやリーダーシップといった経験はもちろんですが、感性やアイデアを 求められる場面が多く、コミュニケーション力 が試されます。
なにか1つ得意とする分野があれば良いというものでもなく、多岐にわたる職種をつなぎ合わせて共同化する、幅広い対応力が求められています。
このようにIMとCMにはそれぞれ異なった役割がありますが、ときおり「IMとCMの違いがイマイチよくわからない……」という声をいただくこともあります。これはおそらく、IMとCMどちらにも「マッチング」と「相談」の役割があるからかもしれません。
そこで、IMとCMの経験者である石田さんにそれぞれの違いについてうかがいました!
【石田さんご紹介】
前職はフィットネスクラブの運営、新規出店、新規事業開発者として長年にわたり従事。
キャリアチェンジを決心した一番のきっかけとなったのは、経営学を学ぶために入学した大学院での日々。在学中に目にしたのは、志の実現のため起業する人、大企業からベンチャーへ転職する人。環境の変化に自ら飛び込んでいくような人と一緒に過ごすうちに「自分で何かできることはないか?」と考えぬいた結果、起業を支援できるツクリエに入社。
東京都開設の創業支援施設「Startup Hub Tokyo 丸の内」のCMを経て、現在はStartupSide Tokyoなどの、ツクリエが運営する起業支援施設でIMを務める。
経験や前職が活きるIM・CMの仕事
以前はフィットネスクラブの運営に携わっていた石田さん。
その当時は、健康志向の高まりやヨガブームなどがあってか、新規出店数は急速に伸びていき、業界は成長期にあったそうです。
石田さん「現場最前線であった私は日々、メンバーの方の個別トレーニングサポートやプログラム実施に水泳教室担当など、1日中コミュニケーションしながら生活していました。そのことで身についたのは『顧客の感情の機微を察知する能力』。これは、起業支援においても役に立っているのではないかと考えています。」
起業家を支援すると、事業が軌道にのっている“いい時”もあれば“悪い時”も当然あるとのこと。
そこで心理的に不安になったり、挑戦する決断をされたりする時に人が出すサインに敏感になれることが、経験として役立ったと石田さんは言います。
石田さん「前職では習慣化しないトレーニングを商品にしていたので、いかに継続していただけるか?継続すれば結果は期待できるので、粘り強く長くやることは、起業にも通じるところかと思います。」
石田さんは前職から、すでにCMとIMの両方に共通する業務をされていることが分かりました。
ビジネスマッチングでの関わりの違いは?
IMとCMの違いが分かりづらい要因である「ビジネスマッチング」。
それぞれの関わり方には、どのような違いがあるのでしょうか。
石田さん「ビジネスマッチングでの関わりとして、IMの方がマッチング相手の事業理解が深い場合があるかもしれません。」
その理由の一つとして、普段から伴走型で支援している相手が多いことが挙げられますが、ここでCMとIMに分けるのは正直難しいと、石田さんは言います。
石田さん「どちらであっても、マッチングさせる時に気を使っているのは単なる紹介にならないこと。
『相性が良さそう』と思う以上に、双方メリットがないといけませんので、事前ヒアリングも大切ですし、これは自分の評価にもなると思います。“何も考えずに紹介してくる人間”と思われるのは、マイナスだと考えています。」
IMとCM、どちらが幅広く相談を受けられる?
仕事内容で“相談”業務がかぶっていますが、どちらが幅広く相談を受けられるのでしょうか。
石田さん「私も入社してCMとIMとなったのですが、基本的にはどちらが何かできるという幅はないように思います。相手が求めるレベルに達していないと思えば、時間をいただいて知っている人に聞いてみたり、より専門的な人を紹介して同席したりと日々学ぶことが続いていくのかもしれません。時には、予備知識がないことで相手の説明能力は期せずして図れることもあります。」
IM・CMとして、事業者目線で考えるって難しくない?
事業者と同じ目線で考えることはすごく難しいと、石田さんは答えました。
石田さん「個人的には同じ目線には立てないと考えています。なぜならば、事業の成り立ちには、当事者でないとわからない想いや熱量があるからです。創業間もない時期の支援が多いので、起業家のそばで手が足りていないところを補填したり、他の誰かとつなげることはできないかな?と考えたり。
IMとCM問わず、限られたリソースでも、スピードが落ちないように伴走することを意識しています。」
IM・CMにキャッチコピーを付けるなら?
石田さん「CMのキャッチコピーは『起業支援の地図アプリ』ですかね。どこに行きたいか尋ねると、各地の情報を提供してくれる。IMは『起業支援のカーナビゲーション』でしょうか。目的地は起業家が決めますが、途中でおすすめスポットを紹介したり、時に休憩を促したり……そうやって伴走している感じです。」
まとめ
IMとCMを両方経験している石田さん。
ただ業務内容が明確に分けられているわけではないので、はっきりとした違いを示すのは難しいところ。
ですが、基本的には“どちらが何をできるという幅はない”と石田さんが言うように、相談相手として足りない部分を感じることがあれば、日々学び続けていくことで、IMとCMの垣根を越えたプロフェッショナルになれるということです。
最後に石田さんは「利用者に対して一時的ではなく、長期間支援することに、起業支援の醍醐味を感じる。」と話してくださいました。
ツクリエでは、このような情熱を持っている方をIM・CMの人物像として求めています。
・起業支援に興味がある
・チームワークを大切にして働きたい
・感性やアイデアを活かして働きたい
・将来は自身も起業にチャレンジしてみたい
・人とのコミュニケーションが得意なほう
・主体的に仕事に取り組みたい
今回紹介したIMとCMの仕事内容や、石田さんのお話で胸が熱くなった方は、ネクストステージとして、新たなチャレンジをしてみてはいかがでしょうか。
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