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点と点をつなぐ! 異業種キャリア座談会(前編)


ツクリエでは、様々な経歴を持つ社員が、その経験を活かし生き生きと働いています。
そこで今回は、ちょっと面白味や意外性のある、異業種の経歴を持つ社員4人が座談会を実施。

ツクリエに入社したきっかけは? 前職での経歴はツクリエでどう効いている? そして4人が描く、今後のキャリア未来図は……?

ざっくばらんなトークから、ちょっとマジメな話まで、前編・後編に分けてお届けします。
ツクリエのお仕事に興味ある方はぜひ、最後まで見てくださいね。

まずは自己紹介

山本 由香さん(以下:山本さん)
「今回の異業種キャリア座談会でファシリテーターも兼ねて参加します、山本由香です。私は元・通信制高校サポート校の職員で、教科担当とクラス担任として務めていました。現在は、広報チームとコミュニティマネージャー(以下:CM)を兼務していて、担当施設はKawasaki-NEDO Innovation Center(K-NIC)、かわさき新産業創造センター(KBIC)、新川崎地区ネットワーク協議会(SKNC)です。
皆さんのプロフィールを見ると、目を引く経歴の方々が揃っていますね。それでは最初に、自己紹介をお願いします!」

江本 珠理さん(以下:江本さん)
「元々はゲストハウスやコワーキングスペースの運営に携わっていました、江本珠理です。ツクリエでは、ファッション関連産業で起業したい方をサポートする荒川区の起業支援拠点『イデタチ東京』と、同区が運営する地域活性化施設内にある無料コワーキングスペース『ツムギバ』で、CMとして施設運営・壁打ち相談・イベント企画・ファシリテーターなどを務めています。」

嶋田 翔太さん(以下:嶋田さん)
「元・信用金庫の管理職で融資を担当していた、嶋田翔太です。現在、ツクリエ本社の『第2インキュベーションカンパニー(以下:2C)※』で、CMとして勤務しています。」

※スタートアップ向けアクセラレータープログラムやビジコンの企画・運営を主軸事業とするチーム。

逢坂 巴菜子さん(以下:逢坂さん)
「私は元・地域おこし協力隊です。現在は、本社2CのCMとして事業開発部と兼務しながら、スタートアップのためのアウトソーシングサービス『Linked.Assist』の運営と、ユーザーデータに基づいた改善業務や顧客獲得業務に携わっています。」

どんな接点!? ツクリエに入社したキッカケを教えて!


山本さん:
「ツクリエに入社したきっかけについてお聞きしていきます。前職とはかなり異なるフィールドに飛び込んできたと思いますが、どういう経緯や想いがありましたか?」

江本さん:
「前職で働いていたとき、つくばのスタートアップパークの立ち上げプロポーザルに出していたのですが、ツクリエが受託されたのを見て、そこでツクリエを知りました。私は大学卒業後に企業勤務を経てから起業したのですが、いろんな仕事を経験した中、『CMという職業で、ちゃんと食べていける会社があるんだ』と思い、興味を持ったのがきっかけです。インターネット検索で【茨城 コミュニティマネージャー】で調べたらツクリエが出てきて、そこで会社をリサーチさせてもらいました(笑)。」

山本さん:
「江本さんは前職のコワーキングスペース運営の際に、同じエリアで競合だったのが、ツクリエが運営していたコワーキングスペースだったんですよね。名前は知っていて、そこからご自身で調べて応募したと。」

江本さん:
「はい。元々コミュニティに関わる仕事をずっとしてきたので、その経験を活かせそうだと思いました。あと、ツクリエにはCMとして働く社員さんがたくさんいると知って『ここなら自分のやってきたことが通じるかも』と感じました。」

逢坂さん:
「私は前職での地域おこし協力隊で“まちづくり×教育”に携わっていたので『次はもっと広い視点で社会に関わりたい』と思っていました。そんな中、前職のつながりから、渡邉涼太さんの紹介でツクリエの存在を知りました。」

山本さん:
「渡邉さんはツクリエ社員でありながら、ミライクルラボの代表取締役として学生向けの起業家教育の分野に取り組んでいますよね。当時、渡邉さんの話を聞いて印象的だったことはありますか?」

逢坂さん:
「渡邉さんの『起業を知ることは、地域を良くするための手段』という考えにとても共感したんです。起業という文脈に自分を重ねながら、次のステップとしてチャレンジしたい!という想いで応募しました。」

嶋田さん:
「僕はずっと北海道の信用金庫で働いていましたが、就職後に『一度は東京で働いてみたい』という気持ちが湧いてきました。転職を決意したとき【コンサル】で検索して、トップに出てきたのがツクリエだったんです(笑)。そこでツクリエの“起業支援”というワードに惹かれました。」

山本さん:
「そのままツクリエに応募を?」

嶋田さん:
「はい。当時はまだよく分かっていなかったのですが『普通のコンサルとは違う何かがある』と思って、応募を決意しました。」

山本さん:
「皆さんそれぞれの経緯や想いでツクリエに応募・入社を決めていたんですね! 私は、以前から懇意にしていただいた社員の方にお声がけいただいたことがきっかけです。企画運営畑が長くなりつつある中で、次のキャリアとして広報やプロモーションに携わりたいと悶々していたときでした。
また、当時私は関東にいましたが、家族の事情で関西に引っ越すことが見えていたんです。その点も含め、ツクリエは受け入れてくれそうな土壌があったので、入社を決めました。」

ツクリエでのお仕事風景

いざ起業支援の現場へ! 前職の経歴、ツクリエでどう“効いて”いる?

江本さん:
「以前立ち上げたゲストハウスは、東京・池袋から1駅の下町にある商店街の空き店舗を改装して始めた宿でした。旅館業の許可を取っていて、個室が3つ、ドミトリー(相部屋を前提とした部屋のこと)が4ベッドある小さな宿です。当時は取締役が4人、私はそこに雇われる形で、カフェスタッフと一緒に宿の担当スタッフとして入ったのですが、かなりの少人数制だったので、立ち上げ・運営と全てが大変でした。
ですがその経験もあって今、特にスモールビジネスについては、事務手続きなどの面倒なところまでを含め、相談に乗ることができています。また、コミュニティ醸成は、前職以前からずっとやってきていたので、入居型施設での入居事業者とのコミュニケーションは想像がつく業務でした。」

逢坂さん:
「私が地域おこし協力隊として働いていたのは、福島県・国見町という宮城県との県境にある町で、人口は9,000人弱と小さな地域でした。町には中学校までしかなく、高校入学のタイミングで福島市や仙台市に出て行ってしまうことが課題になっていたので、地域の公営塾の立ち上げ運営や、地域の大人と協働する体験型授業、ワークショップなどをしていたんです。いわゆる“地域が好きな人を育み、残りたい・帰ってきたいと思う町にすること”がミッションだったんです。
CMと通ずるのは、“場づくり”の一環としてのイベント企画がありますよね。対象は違えど、どんな目的をもってイベントの実施をするのか、そのためには何をするのか。そういったワークショップ設計の“場づくり”は、他拠点からも『ワークショップやってよ』と声をかけてもらうことがあるので、前職の経験が活かせていると思います。」

逢坂さんの地域おこし協力隊時代

嶋田さん:
「僕の仕事はお⾦にまつわることなので、起業家にとっては切っても切り離せない関係性だと思っています。これから起業する方、したばかりの方が多いので、融資1つとっても融資の受け⽅だったり、融資の種類返済だったり、銀⾏・信⾦・公庫の違いが何かだったり……。そういった様々なお金のアレコレを、分からない⽅が多いと思うんですね。そんな中、自分がお⼒添えできているのは、今までの経験が活かされているからだと思います。」

山本さん:
「嶋田さんが勤めていた地元・北海道の信用金庫では、どんなお客さんが多かったですか? 融資って、お金が関わるからこそ難しいことも多そう。」

嶋田さん:
「僕のいた地域は漁師町だったので、漁業関係の方が多かったですね。融資についてはもちろん上手くいかないこともありますし、中には『なんで貸してくれないんだ!』って、強い口調で言われることもありました。そんなときには電話越しに相手をなだめつつ、一旦耳から外して自分自身を落ち着かせていました(笑)。ですが、そのおかげでメンタルは鍛えられましたし、“ダメなものはダメ”と、時にははっきり言う勇気も身に付いたと思っています。」

山本さん:
「それぞれ全然違うキャリアでありながら“人との関わり”というところでは共通していますね。私の場合、通信制高校サポート校での担任時代は“聞く気があまりない人(生徒)に、どうすれば話を聞いてもらえるか?”を日々考え続けトライ&エラーを繰り返してきました。さらに保護者会でも、どう話せば相手の感情に届くのか、といった“伝え方”の技術は、上司先輩からかなり叩き込まれましたね。
今の広報の仕事でもディープテック半導体など、なじみのない分野をどう分かりやすく伝えるかに日々向き合っています。当時の経験が、広報としての文章や説明に活きていると感じます。

人前で話すことに抵抗がないのもそのおかげです。実は、サポート校職員の前は予備校の職員をしていたのですが、その時は80人程の学生を前に300日毎日10分、週一で50分、話すのが日課でした。そりゃ人前で話すことに慣れますよね(笑)。今でも、息を吐くようにしゃべれます。今はモデレーターとして登壇することも増えているので“話す力”は武器になっていると実感しています。」

ツクリエでのお仕事風景

ツクリエで働いていて楽しかったことや、驚いたことは?

江本さん:
「印象に残っているのは、荒川区の起業家をフィーチャーしたオンラインイベントを企画・実施したことです。入社前から知り合いだった方が近所にコーヒー屋さんを開くという話を聞いて『ぜひこの方を紹介したい!』という思いで、イベントを企画しました。

その方は、居場所づくりを目的にコーヒー店を立ち上げ、しっかりと事業計画を練り、補助金も活用しながら開業された起業家で、私が大学院で学んでいる都市計画やコミュニティ形成と重なるテーマでもありました。
イベントは好評で、社内の複数名から『今まで見た起業支援イベントで一番よかった』と言っていただけたり、実際に視聴者がそのお店に足を運んでくれたりと、リアルなつながりが生まれました。自分の思いを既存の施設や企画にのせることで、新たな形で届けられたことが嬉しかったです!」

実際のイベントの様子はYoutubeから!

逢坂さん:
「(ツクリエの本社がある)東京・水道橋で働き始めたときに『東京で働いている!』という実感自体がとても新鮮で、日々の環境にワクワクしていました。地方からの転職という背景もあり、日常の業務すらも新しい刺激になっていました。
特に印象深かったのは、起業家教育の文脈で先輩起業家の話が聞けるトークセッションを開催した際に、山口県の公設塾に通う中学生たちがイベントに参加してくれたことです。 前職の教育関係者とツクリエでの仕事がつながった瞬間でもあり、“地域で若者に新しい選択肢を届ける”という活動の延長線上に、今の自分の役割があると実感できました。
イベント後には『就職だけじゃない道があると知れた』という声をもらえたことが、何より嬉しく、大きなやりがいになりました。」

嶋田さん:
「前職では人口2万人ほどの漁師町の信用金庫に勤めていたので、ツクリエで“まだ世の中にないビジネスをつくろうとする人たち”と出会える日々は、とても新鮮で楽しいです。 以前は融資可否が主な判断軸でしたが、今は“まずやりたいことを応援する”という考え方に変わり、自由度の高さと支援の奥深さに魅力を感じています。
また、支援先の中には、歯科医のDX(デジタル)化など、自分の知らなかった分野の技術や発想に触れる機会も多く、むしろ『学ばせてもらっている』と感じることも多いです。日々、視野が広がっていく感覚があり、知らない世界に関われること自体に面白味を感じています。」

山本さん:
「私はFukushima Tech Create(以下FTC)※が楽しかったというか、すごく印象に残っているんです。

※Fukushima Tech Create:ビジネスアイデア事業化プログラム。東日本大震災及び原子力災害によって失われた浜通り地域などの産業を回復するために、新たな産業基盤の構築を目指す国家プロジェクト。

FTCバスツアーに同行して目にしたのは、被災して本当に何もなくなってしまった風景だったんですね。ただそこで、福島の⼈(クライアント)の『どうにかして復興させたい』っていう思いに触れて、FTCをやる意義を改めて感じられたんです。 以前からプロジェクトリーダーが『これは単なるビジネスではなく、社会的意義のある事業だ』と話していたのですが、その意味をようやく実感できた瞬間でした。

私は広報という立場上、普段はなかなか出張に行くことがないのですが、このFTCの取り組みでは、イノベーションツアーやワークショップの企画側として現地に同行することができました。実際に福島を訪れて、自分の目でその土地や人と向き合えたことは、“楽しい”というよりも、深く心に残る経験でした。」

今回の異業種キャリア座談会では、4人それぞれの経歴から入社に至るまで、ツクリエでその経歴が活かされたこと、そしてその仕事の楽しさについて語ってもらいました。

前職は信用金庫、地域おこし協力隊、ゲストハウス運営、教育業界と、全く違う道を歩んできた4人が、それぞれの経験を活かしてツクリエで活躍しています。
きっかけや入社経緯はさまざまですが「人と関わる力」「場をつくる力」「伝える力」など、これまでのスキルが自然と今の仕事につながっているのが印象的でした。

次回の後編では、仕事で直面した苦労やその乗り越え方、起業支援の現場で見えてきた変化、そして“点と点”のキャリアが未来へどうつながっていくのかを探っていきます。前職での面白エピソードも交えながら、4人それぞれの“これから”をたっぷりとお届けします。

それでは次回の公開をお楽しみに!

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