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CMの本棚 第4回「壁打ち、相談対応で役立った本」


起業支援に役立つ本がズラリと並ぶ「CMの本棚」。
この本棚には、起業支援施設で働くコミュニティマネージャー(以下略:CM)が推す、起業支援のヒントになる本がいっぱい。

この本棚から今回ピックアップしたのは「壁打ち、相談対応で役立った本」です。

CMは日々学び続けることが大事

起業家がCMに話を聞いてもらい、考えを整理することが、ビジネスにおいての「壁打ち」です。
ここではアドバイスや意見への答えを求めるのではなく、あくまで考えたことについて整理することを目的に行われます。

起業家が抱える悩みや思いを傾聴した上で、壁打ちや相談対応をし、必要な支援を考えていくのはCMの大きな役割。
CMは感性やアイデアを求められる場面が多く、コミュニケーション力が試されるため、日々学び続けることが重要になります。

そこで起業支援施設で働くCMが愛読した本の感想を、リアルにお届けします!

まずお一人目のCMはこの方!

高島 聖也さん
(ツクリエ社歴:3年/所属:インキュベーショングループ シニアマネージャー)

世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく/渡辺 健介(著)


タイトル:世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく
出版社:ダイヤモンド社

起業家は、今抱えている問題や課題を正しく認識できていないことも多々あります。
そんな中、起業家の支えとなり、力となるのがCMの役割。

「問題解決とはそもそもなにか学びたい」
「ロジカルシンキングの全体像を知りたい」

CMが問題解決の力を備えるために、1冊目の指南書として手に取りたい一冊です。

Qこの本の内容を教えてください
タイトルの通り、問題解決に必要な事柄を必要最小限にまとめた1冊。
問題解決の際にどのようなアクションを起こすべきか、具体的なストーリーを交えて解説しています。

問題解決のできる人=具体的な目標を持ち、問題の解決策を見つけられる人。
それを実行に移せる人になるための、初歩を学ぶことができる書籍です。

中高生でも理解できる平易な表現が使われているので、企業において経営陣だけでなく新人社員にも分かりやすい内容です。

Qこの本はどんな人におすすめ?
この本は、すでに自社のサービスや商品を提供しており、マーケティングや売り上げの成長に課題を抱えている方におすすめです。
売り上げを増やすためには、新規顧客を獲得することが一般的なアプローチとされがちですが、この本を通じて、既存の顧客を大切にすることの重要性に気づくことができました。
既存顧客のニーズをより深く理解し、満足度を高めることが、新規開拓よりも確かな効果をもたらします。その結果、事業戦略の見直しや、企業やブランドらしさを見直すきっかけにもなると思います。

Qこの本のポイントを教えてください
ストーリー仕立てで問題解決の手法を解説しているところです。
中高生でも理解しやすい平易な物語を読み進めていくうちに、読者は自然とロジカルシンキングを身につけることができます。

Qこの本から学んだことは?
問題解決とは「現状を正確に理解し」「問題の原因を見極め」「効果的な打ち手まで考え抜き」「実行する」こと。
私自身、適度に考えて、行動して、方向修正して……という行動スタンスは、この本を見て実践しました。

高島さんは、主催したイベントの登壇者が、講義の中でオススメしたことでこの本の存在を知ったといいます。
「問題解決力こそ、起業家がなによりも先に身につけるべきスキルである」という言葉と共に、ロジカルシンキングを学ぶ書籍として紹介されたそうです。

「起業支援家とは、起業家と一緒に目の前の問題に立ち向かっていく存在」だと、高島さんは考えています。

問題解決力を育み、伴走支援のスキルアップをしたい方はぜひ、手に取ってみてください。

続いてお二人目はこの方!

児玉 あゆこさん
(ツクリエ社歴:4年/所属:東京都荒川区の起業支援施設「イデタチ東京」)

LISTEN―知性豊かで創造力がある人になれる/ケイト・マーフィ(著)


タイトル:LISTEN―知性豊かで創造力がある人になれる
出版社:日経BP

聞く姿勢、聞くことの効能が、あらゆるコミュニケーションの場面・観点から500ページにわたり紹介されている本書。
人に信頼され、特別な関係を育む「聞く能力」を育むために読んでおきたい、知識も心も豊かにしてくれる一冊です。

Qこの本はどんな人にオススメ?
起業アイデアの壁打ちや、起業の相談は、「聞くこと」がメイン。
特に壁打ちは、聞くが9割と言っても過言ではありません。
壁打ちや相談の機会が増えてきた一方で「自分は聞けているのか?」「そもそも聞くってどういうこと?」と考えていた時に、この本に出会いました。
CMだけでなく、企業で部下を持つ上司・営業担当者をはじめ、つい話しすぎてしまう・主張しすぎてしまう、会話泥棒だと感じる、人間関係がうまくいっていない、聞くことを今一度理解したい……。
そんな方に向けてオススメしたい一冊です。

Qこの本の特徴を教えてください
社外人材によるオンライン1on1サービスを提供するエール株式会社取締役で、元ほぼ日取締役CFO篠田真貴子さんが監訳した、「聞く」とはどういうことか?を解いた一冊。
スマホが生活に根差し、話す・伝えることが重視されがちな中、この書籍は「聞く」ことにフィーチャーしているのが特徴です。

聞くことが重視されるカウンセラーや医療の職業、上司が部下の話に耳を傾ける1on1の場面や、家族や友人を含む大切な人との人間関係で聞くことの効能を洗い出し、聞き上手を実践できる内容です。

Qこの本を読んで実践したことがあれば教えてください
「アドバイスをしようと思って聞くと失敗する」というチャプターがあります。
そもそも相談や壁打ちなのだから、アドバイスをしようとしないで聞くのは難しいのですが、特に壁打ちでは、問題を解決するのは相談者自身。

話を誰かにしっかりと聞かれた体験が、解決のトリガーになることを目指し、目の前の相談者の話にただ耳を傾け、一挙手一投足にまで意識をもって向き合うようにしています。

きちんと聞くと、本質を捉えた質問が出やすいです。

Qこの本から学んだことは?
まずは、聞き上手でいる姿勢です。
自分の結論ありきで話を聞かず、相手の話に耳を傾け、相手の視点を認められるのがよい聞き手なので、バイアスを持たずに話を聞くことを心がけるようになりました。

次に、質問が尋問になってはいけないこと。
相手を責め立てる質問だと、もちろん相手は心を開いて話してくれません。
また打算的な姿勢が相手に伝わり、口を閉ざされてしまうこともある恐れもあります。
自分の正しさを証明するためや、相手の考えを変えるためではなく「好奇心」を持つことが大切だと学びました。

「問題解決力」と「傾聴力」を育む本で
幅広い対応力を身につけよう

今回は、CMの高島さんと児玉さんに「壁打ち、相談対応で役立った本」を紹介してもらいました。
CMとして欠かせない「問題解決力」と「傾聴力」を学びたい方は、ぜひこれらの書籍を手に取ってみてください。
そこには、起業支援の多くのヒントが詰まっていますよ。

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