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CMの本棚 第3回 「コミュニティづくりやコミュニケーションに役立った本」


起業支援に役立つ本がズラリと並ぶ「CMの本棚」。
この本棚には、起業支援施設で働くコミュニティマネージャー(以下略:CM)が推す、起業支援のヒントになる本がいっぱい。

この本棚から今回ピックアップしたのは「コミュニティづくりやコミュニケーションに役立った本」です。

まずお一人目のCMはこの方!

市川 ひとみさん
(ツクリエ社歴:1年/所属:東京都荒川区の起業支援施設「イデタチ東京」/日暮里繊維街のコワーキングスペース「ツムギバ」)

ファンベースなひとたち ファンと共に歩んだ企業10の成功ストーリー/佐藤 尚之(著)


タイトル:ファンベースなひとたち
出版社:‎日経BP

Qこの本の内容は?
この本はファンベースというアプローチに焦点を当て、企業が自社のサービスやブランドを愛するファンを大切にし、それを基盤にして長期的に売り上げや価値を高める方法を解説しています。
具体的な事例を漫画で分かりやすく紹介しており、ファンベースの考え方やデータに基づく理論が冒頭で詳しく説明されているのが特徴です。

また、さまざまな業界や事業内容を持つ企業の実践例が掲載されているので、さまざまなファンベースの実践事例を知ることができます。

Qこの本はどんな人におすすめ?
この本は、すでに自社のサービスや商品を提供しており、マーケティングや売り上げの成長に課題を抱えている方におすすめです。
売り上げを増やすためには、新規顧客を獲得することが一般的なアプローチとされがちですが、この本を通じて、既存の顧客を大切にすることの重要性に気づくことができました。
既存顧客のニーズをより深く理解し、満足度を高めることが、新規開拓よりも確かな効果をもたらします。その結果、事業戦略の見直しや、企業やブランドらしさを見直すきっかけにもなると思います。

Qこの本のポイントは?
この本のポイントは、現代において無数の商品やサービスが存在する中で、自社を支持してくれるファンを大切にするという考え方です。競争が激しい市場で成功するためには、顧客にファンになってもらい、長期的な関係を築くことが重要です。
既存顧客は、商品やサービスのいいところを知っており、価値を理解している自社のファンです。そのため、既存顧客からの意見やフィードバックを積極的に受け入れ、分析することで、製品やサービスの改善点や新たなアイデアを見つけ出すことができます。

特に重要なのは、全顧客の中でも上位20%のコアファンが、全体の売り上げの80%を占めていることです。そのため、コアファンの顧客生涯価値(LTV)を高めることが重要。コアファンを育て、長期的な関係を築くことが、ビジネス成功の鍵とされています。

Qこの本から学んだことは?
この本から学んだことは、顧客が商品やサービスを選ぶ基準は機能面だけでなく、その企業の理念や伝えるメッセージ、経営者の人柄やストーリー、市場に出るまでの流れなどの情緒面も重要であることです。

特に起業初期の段階では、限られたリソースを適切に割り当てる必要があり、商品やサービスの内容に集中することが多いかもしれません。しかし、この本を通して、ファンからのフィードバックを受けながら、他社との差別化ポイントとなる情緒面を明確に伝えることが重要であることを学び、施設に入居する方々とのコミュニケーションにも活かせています。

続いてお二人目はこの方!

上野 駿さん
(ツクリエ社歴:2年/所属:かわさき新産業創造センター

聞く技術 聞いてもらう技術/東畑 開人 (著)


タイトル:聞く技術 聞いてもらう技術
出版社:筑摩書房

Qこの本の内容は?
この本は、聞くことと聞いてもらうことの重要性と方法について書かれています。聞くことで相手の気持ちや考えを理解し、信頼関係を築いたり、聞いてもらうことで自分の弱みや悩みを共有し、余裕や安心感を得たりする方法について解説されています。
聞くという日常の行為が改めて言語化されることで、聞く際に意識することや注意すべき点に気づかせてくれる内容です。

Qこの本を選んだ理由は?
辛いときやモヤモヤしているときに誰かに聞いてもらうことが、助けになる状況が多くあったからです。
日常生活や仕事の中で、相手の話を聞くことは日常的に行っていますが、この本を通じて誰かをサポートできる方法を学び、より意味のある聞き手になりたいと思いました。

Qこの本から学んだことは?
聞くための具体的な方法やコツ、聞くことで自分自身や相手を変える力になるということを学べました。
普通の日常的な行為である「聞く」という行為が、実は誰かの不安を取り除き、自然にケアする手段であることに気づかされました。聞くことは些細な行動かもしれませんが、その効果の大きさについて再認識することができました。
この本は、単なる「聞く」という行為が、人々の生活や関係にどれだけ深い影響を与えるかを教えてくれます。

Qこの本を読んで実践したことは?
コミュニティマネージャーの業務や日常生活の中で誰かから相談された際に、「単に聞く」ことを意識するようになりました。相手の話をただ聞くことで、相手が抱えていた悩みやモヤモヤを自然に解決するお手伝いができたり、相手自身が新たな気づきを得たりすることがありました。

相談を受ける際は自分の意見やアドバイスを言いたくなることもありますが、ただ聞くことで相手の気持ちや状況を理解できたり、相手のモヤモヤが自然と晴れたりします。その結果、相手自身が自主的に問題を対処し、次の行動に向かっていく姿勢が生まれるのです。
実際に「ただ聞くこと」を実践してみることで、聞く力の重要性を体験できました。

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