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起業の潮流
公開日:2024.07.20
2024年7月4日(DAY1)、初日の会場は朝早くから多くの参加者でにぎわい、開場前から長蛇の列。開幕セレモニーでは、京都府知事や京都市長、岸田首相のビデオメッセージが上映され、熱気に包まれた会場にいっそうの活気が加わりました。
初日は、成功と失敗を経験した起業家たちが、自らの挑戦の軌跡を語る「連続起業家の挑戦」についてのセッション、日本のゲーム会社がWeb3にどう取り組んでいるかの具体例が語られた「Web3ゲーム戦略」についてのセッション、生成AIがビジネスに与える影響について深掘りした「生成AIの未来」についてのセッションなど、AIやIoT、Web3、グローバルなどのセッションが多く行われていました。
そんな中、腸や脳の研究者から見る伝統食と、伝統食を展開する起業家によるセッション「健康寿命を伸ばす秘訣は??〜腸と脳を知り、食を考えれば、未来が変わる〜」など、食と健康についてのセッションが人気で、立ち見も出る盛況ぶりが印象的でした。
イベント終盤にはネットワーキングセッションが設けられ、参加者同士が自由に交流できます。スタートアップと投資家が直接対話する機会もあり、いくつかのスタートアップはその場で資金調達について具体的な話を進めていました。企業のリーダー同士による情報交換も行われ、共同プロジェクトの可能性についても議論がされていました。
<京都府知事や市長も開幕セレモニーに参戦>
<岸田首相のビデオメッセージ>
企業がプレゼンしスタートアップ企業から課題提案を募るリバースピッチや、企業とオープンイノベーションのセッションが中心となった2024年7月5日(DAY2)。企業がスタートアップに投資する理由や、産学官連携の重要性についての具体的なプレゼンテーションが行われ、特にダイバーシティ時代の企業発信や、障がい者の働き方を変えるIT技術についてのセッションが印象的でした。
午後には期間中200セッションの中のメインとなるピッチイベント「LAUNCHPAD KYOTO」が、会場中に響きわたる爆音とともに開始。300社以上の応募から選出された15社のファイナリストが、自社の革新的な技術やサービスを投資家や観客に向けて各6分間のピッチをしました。今回の15社のほとんどがAIを用いた事業となっており、ここ数年のAIトレンドを上手くとらえ、事業に実装させてきたスタートアップの可能性を感じます。
そんな15社の決勝進出者の中から優勝(スタートアップ京都国際賞)をつかみ取ったのは、RENATUS ROBOTICS株式会社「RENATUS(レナトス)」でした。
「RENATUS」は、圧倒的なピッキング効率・格納効率を実現する、大規模・超高密度な自動倉庫システム。これまで1件あたり約4分かかっていた人の作業を12秒までに縮めるAIを用いたシステムで、将来的に全自動化を行い、人が行う作業をなくすことを目指しています。また、RENATUS ROBOTICS株式会社「RENATUS」は、視聴者の投票で選ばれる「オーディエンス賞」にも輝き、見事2冠となりました。
<ピッチイベント「LAUNCHPAD KYOTO」の開幕>
<躍動したピッチを披露したRENATUS ROBOTICS株式会社 安藤 奨馬 氏>
<RENATUSが、スタートアップ京都国際賞とオーディエンス賞の2冠を獲得>
最終日の2024年7月6日(DAY3)は、生成AIを軸にしたビジネスのピッチセッションや、生成AIのビジネス化、デジタルマーケティング、クリエイティブの未来に関するセッションが多く行われました。
午前中に行われた「Generative AI起業家ピッチ」では、「AI社長」「旅行プランを約30秒で生成するAIサービス」「注文住宅案を瞬時に作成するAI」「AIアバターによるフロントオフィス業務」など、生成AI技術を活用したプロダクトやサービスを展開する起業家による各4分間の熱のこもったピッチが行われました。
シークレットスピーカーで登場した株式会社トークパスの生成AIを用いたスピンオフ小説出版サービス「Book Craft」は、テクノロジー×クリエイティビティの未来を感じる、大変興味深いものでした。
放送作家・鈴木おさむ氏が登壇したセッション「次世代エンターテインメントの勝ち筋」では、経営者とクリエイターの協業の可能性が語られ、toCスタートアップ向けのファンド立ち上げも発表されました。
また、女性起業家による「地方特有のリソースやネットワークの活用方法」や、女性の意思決定者も積極的に巻き込んでいく必要性に対するディスカッションなど、女性起業家やダイバーシティーに関するセッションも多く開催され最終日を迎えました。
<生成AI技術を活用したプロダクトやサービスがプレゼンされた「Generative AI起業家ピッチ」>
<生成AIを軸にしたセッションが多く開催>
<女性起業家も多く登壇>
IVS期間中および前後で行われるイベント群が「公認サイドイベント」です。2024年は前年倍の300を超えるサイドイベントが開催。ミートアップもあれば、飲み会、ランニングなどのスポーツ、勉強会、クラブイベントなど内容も多種多様でした。期間中、京都の街ではIVSパスを首からかけたイベント参加者をよく見かけました。
ツクリエ社では、起業家輩出を目指す超濃密プログラム「IVS Sandbox」およびIVS 公認サイドイベント「Open Innovation横丁/HR横丁@BnA Alter Museum」に、自主運営するインキュベーション施設「StartupSide Tokyo」が参画したほか、明治大学経営学部と共催し学生がネットワーキングする「Students Morning Meetup」を公認イベントとして実施するなどしました。
期間前の6月からスタートしたサイドイベントは、メインイベント終了後も8月まで開催が予定されており、熱いIVSの夏はまだまだ続きます。
<東京都xスタートアップスタジオ協会の協定事業「TIB STUDIO」の支援事業者であるツクリエ社(StartupSide Tokyo)のシニアマネージャー小泉祐司が、公認サイドイベント「Open Innovation横丁/HR横丁@BnA Alter Museum」に登壇>
<Meet up クラブイベント>
<フルスケールのエヴァンゲリオンをIVSで独占>
<鴨川で開催されたランニングサイドイベント>
IVS2024 KYOTOは、有望なスタートアップや起業家はもちろん、彼らを支える世界中の投資家や大企業のエグゼクティブ、学生や未来の有望スタートアップが集い、熱気と興奮に包まれた3日間となりました。未来のビジネスや技術の発展に向けた数多くのセッションが行われ、無数のビジネスチャンスと、スタートアップ関係人口のさらなる拡大のきっかけとなる場となりました。