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「STATION Ai」オープニングイベント潜入記 ~日本最大級のオープンイノベーション拠点に広がる未来~

2024年10月31日に日本最大規模のオープンイノベーション拠点「STATION Ai」が名古屋市鶴舞公園南側にオープン。10月31日にオープニングセレモニー、11月1日-2日にオープニングイベントが開催されました。総面積23,600平方メートルにもおよぶこの施設は、愛知県が進めるスタートアップ支援の中核となる場所で、開業前から多くの注目を集めていました。オープニングの3日間で、約4,000人の起業家、投資家、研究者や、一般のお客様が集まり、愛知発のイノベーションが日本全国、さらに世界に波及するための第一歩が踏み出されました。
今回、起業支援ラボ編集部がSTATION Aiのオープニングイベント「IGNITION【点火】」を実際に訪れた現地の様子をレポートしお伝えします。

起業支援ラボ編集部

「起業支援とは何か?」をデータやファクト、哲学から考察し、提言するWebメディアの編集部。起業支援業界内外のさまざまな人たちと、さまざまな角度から問いを投げかけ、起業支援というブラックボックスを明らかにしてゆく。起業の開業率・存続率・成長率を上げ、社会の新陳代謝を促す起業の支援を考える。

STATION Aiとは?~日本のスタートアップエコシステムの要に

STATION Aiは、愛知・名古屋を拠点に国内外のスタートアップ、投資家、企業、教育機関などが集う「オープンイノベーション拠点」として設立(運営/STATION Ai株式会社)。地上7階建て、総延べ床面積23,600平方メートルの「STATION Ai」は、圧倒的な広さと最先端の設備が揃う施設。このスケールは、まさに「日本最大」を実感させられます。フランス・パリにある世界最大のスタートアップ支援拠点「「STATION F(ステーション エフ)」にちなんだその名前の通り、次世代の事業創出や人材育成の「出発駅」を目指しており、多くの関係者が期待を寄せています。
注目すべきは、施設内に設けられたテックラボやロボットフレンドリーな環境が備わっている点。スタートアップが実際にプロトタイプを開発したり、テストを行ったりすることができる環境が整っており、開業時すでにスタートアップ約500社、トヨタ自動車やアオキスーパーなどのパートナー企業約200社が入居しているとのこと。

また、スタートアップ支援のための包括的なメンターシップ制度や資金調達サポートも提供しているため、日本全体のスタートアップエコシステムの強化を図る役割も担っています。

<グランドオープン前に取材した、施設の様子>

この施設のオープンが、日本のスタートアップ支援にどのような影響をもたらすのか、「オープニングイベント」の様子からお伝えします。

【DAY1】自由な空間に自由なプログラムがイノベーションの息吹を感じさせる。

11月1日オープニングイベントの初日の10時のオープンにあわせて施設にすでに多くの来場待者が列をなしていました。「STATION Ai」のブランドカラーにあわせたポップでカジュアルな色とりどりのパーカーを来たスタッフに迎えられ受付を済ませて来館。「STATION Ai」に期待を寄せる多くの方々の熱気と、イベント仕様にカスタマイズされた空間は、事前取材の際に感じた秘めたる場のポテンシャルが解放され、テーマとして掲げられた「IGNITION【点火】」を肌で感じることができました。

<エントランスにはイベント用にブランドカラーで作られたオブジェクト>

エントランスを抜けて、まず目に飛び込んできたのはエントランスからシームレスにつながる1階のメインイベントスペースで開催されていた「愛知と世界をつなぐグローバル・エコシステムの実現に向けて」のオープニングセッション。愛知県がこれまで連携してきたアメリカ、フランス、シンガポールを始め複数の国の支援機関や大学などの連携機関を招いてSTATION Aiに対する期待が語られました。平常時の縦長の配置から横長のレイアウトに様相を変えた会場は、登壇者と客席の距離が物理的にも近く、イベント全体の一体感をつくり熱いセッションが繰り広げられていました。

フロアをあがると、4つのステージとスタートアップブース展示が随所にゾーニングされていました。4つのステージでは総数で100名を超える各業界のリーダーや専門家によるセッションが行われ、集まる聴衆で全ての会場が賑わっていました。「地域のカルチャーを変革するグローバルカンファレンスの価値」と題され、グローバルカンファレンスを牽引してきたリーダーによるグローバルカンファレンスと地域のカルチャーの関係の話は、2025年2月に愛知・名古屋で開幕するグローバルカンファレンス「Tech GALA Japan」への期待感が高まるものでした。その他、日本のディープテックの可能性を探るセッションや、インパクトファイナンスの今後、日本流オープンイノベーションの理想など、興味深いセッションに多くの方々が耳を傾けていました。

<1階メインイベントスペースで開催のセッション>

<M3階イエローステージで開催されていたセッション>

<M3階ホワイトステージでのセッション>

<3階グリーンステージでのセッション>

スタートアップブース展示では、STATION Aiに所属するスタートアップやパートナー企業のプロダクトや技術が展示され、スタートアップ企業のサービスに触れながら参加者との交流がなされていました。展示のすぐ横には木製パレットを積み木のように並べ座席が作られたエリアが展開されており、スタートアップのピッチが開催。ピッチエリアの横では軽食やドリンクも提供され多くの聴衆が思い思いのスタイルで耳を傾けていました。

<スタートアップブース展示>

<スタートアップピッチ・ネットワーキング>

<軽食やドリンクも振舞われていました。>

プログラムの最後には、1階メインイベントスペースでのオープニングイベントアフターパーティが開催されました。スタートアップ・事業会社・投資家・支援機関など様々なステークホルダーが一堂に集結したアフターパーティは、イベントスペースではおさまりきらず、エントランス付近までエリアが拡大され大変な賑わいとなりました。

【DAY2】地域と繋がる施設は、生活の身近にイノベーションの機運醸成の環境を

2日目となる11月2日(土)は、地域の一般の方々を意識した子どもから大人まで楽しめるプログラムが準備され、生憎の雨にも関わらず、お子様連れの多くのファミリーが集まっていました。

メインイベントスペースでは、ノーベル賞受賞者の吉野彰氏や、2023年に作家業を引退された鈴木おさむ氏によるセッショントーク(鈴木氏は雨天の影響により急遽リモート出演で実施)。また、東海テレビ「START UP!!」の公開収録もなされMCを務めるお笑い芸人のカミナリと東海地方から世界を目指す多数の起業家たちによるステージで、一般客を盛り上げていました。

その他にも、ARやAIを使用したゲームのようなデジタル体験コンテンツやプログラミング体験教室は、多くのお子さんが集まり夢中で楽しむ様子が印象的でした。

STATION Aiは、スタートアップだけでなく、誰でも使用できる開かれた施設である点も特徴の一つになっています。

また、2024年11月1日から施設内にオープンした、愛知県にゆかりのある革新的な事業を興した創業者・経営者の業績等を伝える施設「あいち創業館(Aichi Founders Museum)」は、曲線の壁やテーブル、ソファーで構成された一見何もない真っ白な空間に、映像やAIのデジタル技術を駆使した体験型展示となっています。
感覚的かつワクワク感のある学び体験のインターフェースで、あいちの産業の過去と現在、そして未来へと時代を超えた驚きや気づきを子どもから大人まで幅広く体感できる施設でした。

この日は、小さなお子さんを連れたご家族が集まり楽しんであいちの産業に触れ学んでいる様子が印象的でした。

まとめ:STATION Aiから生まれる未来

オープン前取材の際に空間から感じとっていたSTATION Aiのイノベーションや創造の予感は、オープニングイベントを通して確信へと変わりました。各業界の専門家や、教育機関、スタートアップやエンジニアに投資家、地域住民からファミリー、行政の担当者まで、この場に多くの方が集い繋がり熱狂する様子は、STATION Aiが愛知から未来を創造する「出発点」となる「IGNITION【点火】」そのものでした。今後、STATION Aiが提供する支援やネットワーキングの機会を活かし、ここから数多くのスタートアップが生まれ成功を収めることを期待せずにはいられません。未来のリーダーたちがここから日本全国、そして世界へ羽ばたいていく姿を想像すると胸が高鳴ります。

〈おまけ〉

STATION Ai は、名古屋駅の2駅となりの鶴舞駅を降りてすぐの近代フランス式の洋風庭園と廻遊式の日本庭園とを合わせもつ和洋折衷の大公園「鶴舞公園」と併設する立地。施設の1階・2階には一般の方も利用ができるフードコーナーやカフェ、コンビニもあり、地域の方々にとっても憩いの場の一部となることが想像できます。

また最上階には、キッチン・調理器具などを備え、家族やグループ利の用に便利なレイアウトの滞在型アパートメントホテル「Minn STATION Ai Nagoya」があり、2名定員の部屋から最大14名まで宿泊でが可能。筆者はこの一室を拠点に取材をさせていただきました。

お昼には地域の方に紛れてフードコーナーで食事いただき、カフェコーナーではスタートアップの方々の打合せを横目に執筆を進めたり、夜には部屋で休憩を取ったりと、恵まれた環境で業務ができました。名古屋出張にも最適な環境でおすすめです。

<鶴舞公園を南に抜けるとSTATION Aiにたどり着きます。 >

<1階のフードコート>

Minn STATION Ai Nagoyaのエントランス>

〈客室には大きなテーブルやソファーも配置され集中作業にも最適でした。〉

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